平成30年度 診療報酬改定 「口腔」「栄養」「摂食嚥下」に関する改定の整理

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平成30年度 診療報酬改定 「口腔」「栄養」「摂食嚥下」に関する改定の整理

平成30年度診療報酬・介護報酬同時改定においては、口腔・栄養・摂食嚥下に関する改定が非常に多く見られました。

その内容を1年経った今だからこそ、改めて整理するとともに、今後の活用について考えていきましょう。

またそれぞれの戦略や対策については、別の参考記事を順次アップしていきます!

1. 退院支援加算(名称変更)と入院時支援加算(新設)

入院を予定している患者が入院生活や入院後にどのような治療過程を経るのかをイメージでき、安心して入院医療を受けられるような、より優しく丁寧な医療を推進する観点から、外来において、入院中に行われる治療の説明、入院生活に関するオリエンテーション、持参薬の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施し、支援を行った場合の評価を新設する。

退院支援加算
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入退院支援加算(名称変更)
入院時支援加算(新設)

【入退院支援加算】(名称変更)

算定要件 (赤字が変更箇所)

退院困難な要因
ア悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれかであること。
イ緊急入院であること
ウ要介護認定が未申請であること
エ虐待を受けている又はその疑いがあること
オ医療保険未加入者又は生活困窮者であること
カ入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推測されること。)
キ排泄に介助を要すること
ク同居者の有無に関わらず、必要な介護又は養育を十分に提供できる状況にないこと
ケ退院後に医療処置(胃瘻等の経管栄養法を含む。)が必要なこと
コ入退院を繰り返していること
サその他患者の状況から判断してアからコまでに準ずると認められる場合

【入院時支援加算】

算定対象

(1)自宅等(他の保険医療機関から転院する患者以外)から入院する予定入院患者であること。
(2)入退院支援加算を算定する患者であること。

施設基準

(1)入退院支援加算の届出を行っている保険医療機関であること。
(2)入退院支援加算1、2又は3の施設基準で求める人員に加え、入院前支援を行う担当者を病床規模に応じた必要数、入退院支援部門に配置すること。
(3)地域連携を行うにつき十分な体制が整備されていること。

留意事項

入院の予定が決まった患者に対し、入院中の治療や入院生活に係る計画に備え、入院前に以下の内容を含む支援を行い、入院中の看護や栄養管理等に係る療養支援の計画を立て、患者及び関係者と共有すること。
①身体的・社会的・精神的背景を含めた患者情報の把握
②褥瘡に関する危険因子の評価
③栄養状態の評価
④持参薬の確認
⑤入院中に行われる治療・検査の説明
⑥入院生活の説明
⑦退院困難な要因の有無の評価

2. 退院時共同指導料の見直し

入院中の患者が退院後に安心して療養生活を送ることができるよう、関係機関の連携を推進するため、退院時共同指導料について、医師及び看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象となるように見直す。

入院中の保険医療機関の保険医又は看護師等+退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等
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入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士
+退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士

【退院時共同指導料1】

算定要件

注1保険医療機関に入院中の患者について、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士が、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該入院中1回に限り、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関において算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。

【退院時共同指導料2】

算定要件

注1 入院中の保険医療機関の保険医、看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等又は社会福祉士が、入院中の患者に対して、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医若しくは当該保険医の指示を受けた看護師等、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等若しくは社会福祉士又は当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医の指示を受けた訪問看護ステーションの看護師等(准看護師を除く。)と共同して行った上で、文書により情報提供した場合に、当該患者が入院している保険医療機関において、当該入院中1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者については、当該入院中2回に限り算定できる。
包括範囲
B006-3 退院時リハビリテーション指導料(理学療法士等が行った場合に限る。)
B014 退院時薬剤情報管理指導料(薬剤師が行った場合に限る。)

3. 生活習慣病管理料の要件見直し

1.生活習慣病管理料の療養計画書の記載項目(様式)に、血圧の目標値及び特定健康診査・特定保健指導を実施する保険者からの依頼に応じて情報提供を行うこと等に関する記載欄を追加する。
2.生活習慣病管理料について、学会等の診療ガイドライン等の診療支援情報等に関する要件を追加する。

【生活習慣病管理料】

算定要件 (赤字が変更箇所、12・13は新設)

(2)生活習慣病管理料は、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものであること。また、交付した療養計画書の写しは診療録に貼付しておくものとする。なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えないが、糖尿病の患者については、検査欄の血糖値及びHbA1cの欄、高血圧症の患者については、血圧の欄は必ず記載すること。
(略)
(12)糖尿病又は高血圧症の患者については、治療効果が十分でない等のため生活習慣に関する管理方針の変更、薬物療法の導入、投薬内容の変更等、管理方針を変更した場合に、その理由及び内容等を診療録に記載し、当該患者数を定期的に記録していること。
(13)学会等の診療ガイドライン等や診療データベース等の診療支援情報を、必要に応じて、参考にすること。

4. 回復期リハビリテーション病棟入院料1

回復期リハビリテーション病棟において、患者の栄養状態を踏まえたリハビリテーションやリハビリテーションに応じた栄養管理の推進を図る観点から、一部の入院料について、以下の対応を行う。
(1)回復期リハビリテーション病棟入院料1について、管理栄養士が、リハビリテーション実施計画等の作成に参画することや、管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が計画に基づく栄養状態の定期的な評価や計画の見直しを行うこと等を要件とする。
(2)回復期リハビリテーション病棟入院料1について、当該病棟に専任の常勤管理栄養士が1名以上配置されていることが望ましいこととする。

算定対象
(1)リハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえた計画を作成すること。なおその際、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目(※)については、必ず記載すること。
(※)リハビリテーション実施計画書及びリハビリテーション総合実施計画書に、栄養状態等の記入欄を追加。
(2)管理栄養士を含む医師、看護師その他医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び計画の見直しを、共同して行うこと。

(3)栄養障害の状態にある患者、栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれる患者その他の重点的な栄養管理が必要な患者については、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うこと。
(4)回復期リハビリテーション病棟入院料1について、リハビリテーションの実施に併せ、重点的な栄養管理が必要な患者に対する管理栄養士による個別の栄養管理を推進する観点から、入院栄養食事指導料を包括範囲から除外する。

5. 褥瘡ハイリスク患者ケア加算の見直し

1.入院中の新たな褥瘡発生を予防するため、入院時に行う褥瘡に関する危険因子の評価に、「スキンーテア」を加える。

危険因子の評価:日常生活自立度
・基本的動作能力 ・病体骨突出
・関節拘縮 ・栄養状態低下
・皮膚湿潤 ・浮腫
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危険因子の評価:日常生活自立度
・基本的動作能力 ・病体骨突出 ・関節拘縮
・栄養状態低下 ・皮膚湿潤 ・皮膚の脆弱性(浮腫)
・皮膚の脆弱性(スキンーテアの保有、既往)

2.褥瘡ハイリスク患者ケア加算の対象患者に、「皮膚に密着させる医療関連機器の長期間持続的な使用が必要であるもの」を追加する。

【褥瘡ハイリスク患者ケア加算】

留意事項 (クの追加

褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者とは、ベッド上安静であって、次に掲げるものをいう。
ア ショック状態のもの
イ 重度の末梢循環不全のもの
ウ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
エ 6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの
オ 特殊体位による手術を受けたもの
カ 強度の下痢が続く状態であるもの
キ 極度の皮膚の脆弱(低出生体重児、GVHD、黄疸等)であるもの
皮膚に密着させる医療関連機器の長期間持続的な使用が必要であるもの
ケ 褥瘡に関する危険因子(病的骨突出、皮膚湿潤、浮腫等)があって既に褥瘡を有するもの

6. 在宅患者訪問栄養指導料の見直し

単一建物診療患者の人数に応じた評価に見直す。

1. 同一建物居住者以外の場合 530点
2. 同一建物居住者の場合 450点
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1.  単一建物診療患者が1人の場合 530点
2.  単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 480点
3.  1及び2以外の場合 440点

7. 緩和ケア診療加算 個別栄養食事管理加算の新設

緩和ケア診療加算について、管理栄養士が緩和ケアチームに参加し、がん患者の緩和ケアを行った場合の評価として、個別栄養食事管理加算を新設する。(70点/日)

算定対象
(1)本加算は、緩和ケア診療加算を算定している悪性腫瘍の患者において、緩和ケアチームに管理栄養士が参加し、患者の症状や希望に応じた栄養食事管理を行った場合に算定する。
(2)本加算を算定する場合は、緩和ケア診療実施計画に基づき実施した栄養食事管理の内容を診療録に記載する、又は当該内容を記録したものを診療録に添付する。

施設基準
緩和ケアチームに、緩和ケア病棟において悪性腫瘍患者の栄養食事管理に従事した経験又は緩和ケア診療を行う医療機関において3年以上栄養食事管理(悪性腫瘍患者に対するものを含む。)に従事した経験を有する管理栄養士が参加していること。なお、当該管理栄養士については、緩和ケアチームに係る業務に関し専任であって差し支えない。

8. 在宅患者訪問褥瘡管理指導料の要件緩和

管理栄養士の常勤職員の配置を、非常勤職員でも配置可能とする。

9. 栄養サポートチーム加算の要件緩和

担当する患者数が一定程度以下の場合は専任であっても差し支えないこととする。

医師、看護師、薬剤師、管理栄養士いずれか一人は専従であること
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診察する患者数が1日に15人以内である場合は、いずれも専任で差し支えない

10. 入院時食事療養費(Ⅱ)の見直し

入院時食事療養費(Ⅱ)のうち455円となっているものについては、平成30年4月以降の入院時食事療養に係る自己負担の増額(460円)に伴い、自己負担額が費用の額を超えることとなるため、460円に見直す。

1.  2以外の食事療養を行う場合 506円
2.  流動食のみを提供する場合   455円
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1.  2以外の食事療養を行う場合 506円
2. 流動食のみを提供する場合   460

11. 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料

在宅半固形栄養経管栄養法を行っている入院中の患者以外の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る。)に対して、在宅半固形栄養経管栄養法に関する指導管理を行った場合に、最初に算定した日から起算して1年を限度として算定する。(2,500点)

C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料
●算定対象

(3) 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料を算定している患者については、経口摂取の回復に向けた指導管理(口腔衛生管理に係るものを含む。)を併せて行う。なお、経口摂取の回復に向けた指導管理は、胃瘻造設術を実施した保険医療機関から提供された情報(嚥下機能評価の結果、嚥下機能訓練等の必要性や実施すべき内容、嚥下機能の観点から適切と考えられる食事形態や量の情報等を含む嚥下調整食の内容等)も利用して行う。

参考資料 中医協・社保審資料より抜粋

平成30年度診療報酬改定と介護報酬改定の中から栄養に関する改定などを参考にしました。

診療報酬は平成30年3月5日に告示された資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)から、介護報酬は平成30年1月26日に示された「平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188370.html)から抜粋しました。

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