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さて、今日のテーマは
看護師さんの業務見直し
業務改善はまず看護師さんへのヒアリングから
まずは、管理者から1年目の看護師まで病棟の看護師さん全てにヒアリングしました。しかしこの時に大事にしたことがあります。
1 このヒアリングの趣旨を看護師長から事前に看護師に伝えてもらった。
これは非常に大事です。看護師さんは、たの職種から色々と言われるのを極めて嫌う職種です(怒られる・・・汗)
だからこそ、まずは看護師長や経営者と十分に練ってからスタートしました。
2 できるだけ若い看護師の意見をしっかりと聞いた
これは看護師に限った話では無いですが、どの仕事もどの職種も、年齢を重ねると「変化をすることに対して否定的」な方がどうしても増えます。
「今までこうだったし」
「困ってないから」
「そんな改善なんか良いから、人を増やしてよ」
こういう話しになりがちです。特に「人を増やせば解決する」という看護師さんは非常に多く、日本の人口が減っていることや医療介護に従事する人が不足していることをしっかりと理解してもらうところから始まるため、時間と労力が本当に必要になります。
3 ヒアリングは個人的な感情が入らないように注意した
今まで仲の良かった看護師さんや、入職時期が近い看護師さんだとどうしても故意に意見を取り入れてしまいがちです。そう言ったことが内容にフェアにヒアリングをするよう、質問事項は基本的に同じにしました。
ヒアリング内容
ヒアリングした内容の大枠は以下の通りです。
ヒアリング結果
それぞれの質問の特徴的な意見を抜粋して記載します。
質問の答えと若干ずれていることもありますが、概ね出てきた意見をできるだけそのまままとめています。
→ 取れない。人が足りない。
→
① 医師への上申と指示受けが遅いと看護業務が時間内に終わらない。
② 忙しい時間帯が重なり、朝一の検査や昼前の新患(転院者)の受け入れが特に忙しい。
③ 薬のオーダーと取りに行く手間。
④ 医事課やリハビリなどの他の職種との調整、会議などに時間が取られる。
⑤ 電子カルテの入力に時間がかかる。
→ 毎日2時間程度は残業になってしまう。託児所に子供を預けている人と、家庭が落ち着いている人では残業時間に大きな差がある。どうしたら良いかは分からない。
→
・PCの性能によって入力作業に時間がかかりすぎる。
・またPC自体が苦手。バイタル測定の機材などが古い。
・細かい備品がすぐに購入できない。
→ オフレコ(笑)。
実は、まだまだ細かいのも含めるとこの3倍くらいの意見が出ましたが、ほぼこれら全てに対応しました。全てを記載すると膨大になってしまうので、割愛させて頂きます。
その中で「忙しい時間帯が重なり、朝一の検査や昼前の新患(転院者)の受け入れが特に忙しい。」について本日は記載したいと思います。
忙しい時間帯が重なるのは何故か?改善の余地は無いか?
そもそも、何故忙しい時間が重なっていたのか?
例えば看護師の勤務体制の問題や検査や入浴・理髪などの時間がある程度決まっていて、動かすことがしにくかった等の理由はありましたが、これらもすぐに改善ができました。
しかし本質的な時間不足はこの2点でした。
1 新患(転院患者)受け入れが毎日11時であったため
地域の急性期病院からの受け入れが慣例的に11時受け入れでした。細かくいうと、10時に急性期病院を出発して当院の外来を受診、一通りの検査をしてそれから病棟に上がってくる。それが11時ということです。
僕はこの現状を聞いたときに「なんで変えられないのかな?」と本当に思いました。だって、一番忙しい時間に転院を受け入れるなんて、しなければ良いのにと。
そう純粋に地域連携室長(看護師)に相談すると、
「患者さんが迷惑になる」
「急性期病院との流れがあるから」
と当時の地域連携室長は極めて熱い批判を僕に浴びせてきました。
そりゃそうですね。自分の管理している分野が「非効率」と言われたら気分が悪くなります。
しかしそこで負けません。
この2つの質問でほぼ最初の論点はクリアできました。渋々でしたが、すぐに先方に確認をとってもらい、僕のその仮説は立証できたのです。
しかし一難去ってまた一難。
今度は、外来看護師さんが反発してきました。
「受け入れ時間が早まると、検査できなくなるよ?誰がするの?」と。
これも、ものすごい抵抗勢力でしたね。怖かった(苦笑)。
しかし、それも解決です。
看護師長とも相談して、最低限の問診は外来でしてもらってから一旦入院で受け入れ、それから外来の中抜けになる時間帯に「臨床検査技師などがエコーやレントゲンへの誘導をやりましょう」と。
院内のコメディカルのトータルで運用を決めてくれたのです。
看護師さんだけで運用したら、とても過去の慣例を打破できないのです。
2 入院説明に1時間以上取られていたため
これは、本当に大問題です。転院してきた最初の説明にこんなにも時間が取られ、家族からもクレームもあったり、こんなに説明に時間を割いても実際には書類の不備があったりと。本当に困った案件でした。
これが僕の目標でした。
これを解決するためにしたことは「説明書類の抜本的な見直し」です。
家族説明の書類が煩雑で、同じような内容がたくさんありつつ、またサインや住所を記載する箇所が何箇所もあったのです。
さらには、施設説明も見取り図などもなく、どこが非常口で、どこにトイレがあってなど説明するのも手間となっていました。
書類の中身を半年くらいかけて、何度も何度も見直しました。重要な書類のため、簡単に直すことはできません。説明資料を作ったり、院内掲示するなどの手配はさほどかかりませんが、場合によっては訴訟問題にも出てくる重要事項の説明書のサインや、お金に関する事項が記載されている書類は、現場と医事課と、コンプライアンス室と、色々とチェックをしながら進めていたので半年ほどかかりました。
しかし、出来上がってからはどうでしょう?
まとめ
これまで聖域であった看護師さんの業務に、鋭く切り込んでいきったわけですが、もちろん喧嘩はありました。しかし喧嘩をしてでも業務が改善され、本来行うべき業務に注力ができ、そして早く帰ることでできる。そういう仕組みづくりに誇りを持って奔走しました。
一番大事なのは、経営者や看護師長も巻き込み、「この改革はどういう意味があるのか」ということを理解してもらい、そして1年目だろうが30年目だろうが、どんな経験値の看護師さんでも全てヒアリングをする、ということが効果的であったと思います。
新患の受け入れ時間を45分短縮して、入院説明を45分短縮。これにより忙しい時間が重なることを回避して、看護師さんが少しゆっくりと昼食を食べられる時間が生まれました。
まだまだこのくらいの改善では発展途上だとは思いますが、効果が出たのは間違いがありませんので、ぜひ参考にしてください。