さて、平成30年度の同時改定で「栄養」や「口腔」に関する多くの加算が新設または見直しがされたのは記憶に新しい。
今回はその中でも
特養や老健に新設された栄養改善のための加算である「低栄養リスク改善加算」について考えます。
低栄養リスク改善加算について
本当にH30年度改定は、栄養や口腔といった部分の加算新設や見直しが多かった。
予防という観点からも、入院リスクの軽減という観点からも、リハビリ栄養の推進という観点からも、色々な視点で栄養に関する加算が見直されてきた。
医療介護連携
特に医療と介護の連携に関する加算がH30年度の改定ではよく目に留まる。
栄養については、これまで医療は医療だけ、介護は介護だけといった流れだったが、この改定で「栄養連携をしっかりやろう」というメッセージが来たと言える。
他にも
- 栄養スクリーニング加算
- 再入所時栄養連携加算
- 栄養士の配置の施設基準の緩和
などなど、栄養に関する見直しや連携強化の加算が本当に多かった。
だからこそ、この1年で、医療機関及び介護施設に関係する管理栄養士さんたちの取り組み方が問われている。
この国からのメッセージを担当する管理栄養士さんたちがしっかりと理解し、
それを医療機関や介護施設に取り入れていく努力が必要なのだ。
そしてそれは「連携」という大きなキーワードの中で、自施設のみならず、他の医療機関等ともこれまで以上の連携を図ることが必須となってくるのだ。
栄養改善の取り組みの推進
さて、今回は「低栄養リスク改善加算」についてのみ抜粋する。
算定要件
要件を確認すると
こちらの算定要件は非常に細かい。
●栄養マネジメント加算を算定している
●経口移行加算・経口維持加算を算定していない入所者であること
●低栄養リスクが「高」の入所者であること
●新規入所時又は再入所時のみ算定可能とすること
●月1回以上、多職種が共同して入所者の栄養管理をするための会議を行い、低栄養状態を改善するための特別な栄養管理の方法等を示した栄養ケア計画を作成すること(作成した栄養ケア計画は月1回以上見直すこと)
●管理栄養士等は対象となる入所者に対し食事の観察を週5回以上行い、当該入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事・栄養調整等を行うこと
●当該入所者又はその家族の求めに応じ、栄養管理の進捗の説明や栄養食事相談等を適宜行うこと。
●入所者又はその家族の同意を得られた日の属する月から起算して6か月以内の期間に限るものとし、それを超えた場合においては、原則として算定しないこと。
とある。
老健や特養で低栄養に該当する患者は多いと思う。
算定上のポイント
しかし、経口維持加算・移行加算を算定して「いない」というところがポイントで、
多くの老健等は経口維持加算を算定している。
それを踏まえると、低栄養リスク改善加算の対象となるのは
②認知機能の低下により、急に食事摂取が進まなくなった患者
③褥瘡ができて、リスクが「高」になった患者
と整理できる。
先にも述べたとおり、
嚥下機能の低下と低栄養は概ね関係するので、
上記対象患者は思っているほど多くはない。
しかし、
安定した入所が継続でき、リハビリや機能訓練の効果も期待できる。
週5回のミールラウンド(食事の観察)が必要だが、
当たり前といえば当たり前で、低栄養なのだから管理栄養士等が気にかけるのが普通だ。
入所時または再入所時にしっかりと評価して、経口維持加算でいくのか、低栄養リスク改善加算でいくのか、見極める必要がある。