やりたいことをとことん追求。超急性期における呼吸への探究心 若手向けセラピストインタビューVol.19

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最近、このインタビュー企画も多くの方々に知っていただくことができました。

皆さま、本当にありがとうございます。

是非、多くの方々をインタビューして行きたいと思いますので、是非、皆さま応援お願いします!!

 

これまでの他の方々のインタビュー記事はこちらから!!

インタビュー リンクまとめ

 

それでは、本日のインタビューは、「エルニーニョ」こと理学療法士「河添 有希」さんです!!

Vol.19 大阪府在住 理学療法士
30代   河添 有希  

LINE公式アカウント:http://nav.cx/4MznakH

ブログ 「ハコニワ medical」:https://hakoniwa-medical.com/

Twitter「えるにーにょ@痰取りPT」:@hakoniwamedical

甘利
よろしくお願いします!!今日は「えるさん」で呼ばせて頂きますね!
えるさん
こちらこそ、よろしくお願いします!!

これまでの経歴

えるさん
卒業後は回復期リハビリテーション病院に就職し3年半脳卒中・切断/義足を主に診療していました。
その後、現在の病院に移り集中ケア領域の理学療法に従事して約7年になります。
甘利
転職のきっかけは何だったでしょうか?
えるさん

元々回復期は5年程度と思っていました。しかし、すべての患者に9単位実施が本当に日本の医療にとって害だし、不要な人に押し売りしているようで申し訳なかった思いが積み重なりました。また、そんななかでその当時の自分自身がどれだけ臨床的に掘り下げようにも、離床の意義としてモチベーションを保てない事・教育的に調べても聞いても中々解決し難いところなどの閉塞感が強くなり早々に職場を変えました。

あと、これはほんとに昔からなんですが「さぼれるようになったら辞め時」って思ってます 笑

今の職場・法人の特徴は?

えるさん

当院は500床以上あり診療科も多数あります。病院としては集中治療・一般病棟・地域包括病棟・回復期病棟があり、リハは総勢で50名程度となります。

PTは集中治療・内科・一般・地域包括・回復期のチームに分かれて日々診療にあたっています。診療科も多く病床数も多いながら医師・看護師のリハの認知度は高く、この規模の病院にしては一定の信頼はあると感じています。

甘利

リハビリに対する理解が深いのは嬉しいですね。それにはこれまでの多大なる努力があったかと思います。

多職種と良好な関係を築くために気をつけていることは何でしょうか?

例えば、仕事以外においても、普段の勤務外での関わり合いや、仕事以外での悩みの共有・相談などはされているんでしょうか?

えるさん

狙ってる部署や病棟があれば単純にそこの部署での滞在時間を増やします。
病棟であればそこでカルテを作成したりして滞在時間を増やします。
そうすると徐々に臨床的な話から、余談、雑談が多くなってきます。その部署・病棟内で色んな人とここまでいけるとほんとに楽に仕事が進みます。正直自部署にいるよりも看護部かMEセンターか医局にいますからね・・・。

いつも思うんですけど、リハってリハだけで固まるじゃないですか。リハって他職種巻き込まなきゃいけないのに、リハ職種以外と共にしている時間が圧倒的に少ない人が多いのが不思議でならないですね。みんな人間で人間同士仕事するならその人の職種よりもキャラがわかった方が仕事しやすいですよ。

甘利
じゃあ、飲み会とかにも結構行かれますか?
えるさん
飲み会は基本的に行かないです。
仕事以外の悩み・・・この彼氏と結婚していいものか・・・みたいな相談は結構多いです 笑。
甘利
意外ですね〜。時間の使い方が上手なんだと思います。愚痴がどうしても多くなってしまうような飲み会は避け、有益な集まりに参加されているイメージです。

 

呼吸に関して学びを深められておりますが、そのきっかけは?

えるさん

これに関しては学生の時から決めていました。

学生の時に理学療法士としてどうなっていくかを考えた時に、

 1.回復期リハで

・患者の生活・ケアの面を学習する。

・実際に患者が家に変えるとはどういうことかを学ぶ

・制度理解を進める

2.集中治療領域で

・医療を学ぶ

・医師の行動原理を理解する

・リスク管理を理解する

 3.在宅で

・より在宅に長く居続ける事ができる支援をする

・緊急時は迅速に病院につなげることができる

・可能な限り高齢者に経済活動をしてもらう

 

と、こんな風に考えていました。

 

甘利

素晴らしいですね。学生の頃からすごくビジョンがしっかりと描かれていたんですね!

えるさん

今はそのリスク管理を学ぶという意味で現病院に移り、集中治療領域に関わり呼吸と循環を中心に学んでいるところです。今後は酸素療法や人工呼吸器もどんどん機器の簡素化と算定が付くようになると勝手に予想しているので、将来在宅に身を置きたいと考えている身としては呼吸の学習はマストと思いのめり込んでやっています。 

あと、やっぱり息苦しいっていう苦痛をどうにか和らげたいって思いが強いです。

甘利
えるさんは、呼吸に関わるブログやオンラインセミナーなども行っていますよね。今やPT以外もOT・ST、看護師、介護士など多くのスタッフが呼吸リハビリに関して関心を持っていますし、その重要性は日々高まっていると思います。呼吸に関わるリハビリの最前線にいるえるさんとして、多くの人が呼吸を学ぶ意義についてどのようにお考えでしょうか?
えるさん
ん~~医療者なら深度は違えど学ぶべかと思っています。

なぜかというと呼吸が止まったら死ぬか代替え手段が必要になりますし、その過程は凄まじい苦痛が待っているわけです(無意識ってこともありますが)。それを少しでも緩和する・改善するために各職種がそれぞれの専門領域の力でもって臨めば大なり小なり変わるかもしれません。しかも、その状況って急に降りかかってきます。学ばない手はないです。

超急性期リハ(急性期リハ)の魅力と、他のステージでの役割の違いについて

えるさん

魅力は、本当に命の危機だった人が歩いて帰っていく姿を初めから関わり診ていけることだと思います。

介入当初は管だらけで怖いし全く想像がつかないと思いますが色々理解が進むと、今までの生活歴・今回のエピソード・病態・治療・薬剤など様々なことを考慮し、頭の中に書いた絵の通りに進んで自宅に帰っていくという流れで介入できた時はバチバチに興奮します。

でも今でも怖いです。

甘利
そうですよね。命に関わるという点では他の整形疾患などよりも怖さはありますね。他にも同様なものであれば、がんリハや摂食嚥下リハなどもあります。呼吸機能に対するリハビリは命に関わる緊張感は常につきまとうかと僕も日々感じています。
えるさん

決定的な違いは「機能予後」ではなく「生命予後」を念頭に置いていることだと思います。

基本的に我々が介入する対象者は、リハ介入がリスクになるということが大なり小なりあるわけです。それを天秤にかけても介入すべきかを判断していく必要があり、その判断軸は「はやく起きないと体力落ちますよ」という事ではなく、「この状態から離床させたほうがせん妄リスクが軽減する」だとか、「人工呼吸器の早期離脱」などを目指して介入しています。もちろんフィジカル面も考慮して介入はしています。

甘利
リハビリが介入することがリスクになることがある。それは確かにあると思います。そういった中でもそれがリスクではなく効果に変えられるには、セラピスト個々の知識や技術が問われるのだと思います。また、せん妄などの意識障害に対するケアもリハビリとして非常に大事な関わり方だと思います。
えるさん

そうですね。特に集中治療領域ではせん妄リスクの高い薬剤などの使用量や頻度・期間を極力軽減する議論が近年活発です。そういったなかでリハビリテーションなどの非薬物的治療介入は注目されていますからね。

※ICU内のせん妄発生で数年後のQOL指数の低下やADL低下が示唆されています

※長期間の人工呼吸器装着はVAP(人工呼吸器関連肺炎)を誘発する。VAPにより人工呼吸器装着期間が延長するとICU在室日数が増加し、せん妄など様々な悪影響を発生させる可能性があると言われています。

他職種連携について

甘利
他職種連携についてどうお考えがありますか?
また連携について普段気をつけていることがあれば教えてください。
えるさん

間違いなく筆頭はスケジュールの共有です。

特に集中治療室は医師のスケジュールによって看護師も振り回されるところがありますので、医師のスケジュール確認から各患者の必要処置とを考えます。また、看護師は休憩を回したりも大変なのでそのあたりも考慮した上でリハ介入時間を調整したりします。リハの中でも食事の開始が近い患者さんにはSTと時間調整してよりよい評価環境を整えることも我々PTの役割と思っています。

甘利
スケジュールの共有は非常に大事ですね。それを可能にするには、何かソフト面で工夫されていること(アプリの共有など)はありますか?
えるさん

なかなかそこまではしていませんが、毎夕翌日の状況と毎朝変更が無いか・本日の動きはどうなるかは徹底して抑えています。

また、自分のスケジュールも可能な範囲で伝えますが、基本は合わせやすいようにHOTな時間であろう時間帯は常に空けるようにしています。

甘利
最近特に多くの方々に出会うために行動を積極的に行われていますが、その理由と成果等について教えてください。
えるさん

医療業界って頑張ってもたいして給料変わらないじゃないですか。頑張らずに言われた事だけやっていれば一番効率良いんですよ。

でもそれって良心の呵責というか、そんな事よりも知識欲が勝つし勝たないといけないし、やらないやつは淘汰されればいいと言うか…いなくなればいいとかなり攻撃的な思考だったんです。ちょっと時代的にはパワハラなんて言われそうですが・・・笑

しかし今年の2月にTwitterを初めてまぁ本当に色々な考えの医療職がいるもんだなとある種カルチャーショックを受けました。笑

甘利
そうですね。価値観が変わりますよねTwitterなどをすると。僕もそう感じました。
えるさん
そんななかでやっぱり頑張っている人が多くて、自分の頑張りってまだまだ足りてなかったなと痛感しましたし、かなり価値観が限定的だと思い知らされたわけです。
甘利

そうですね。SNS上では「すごい人」って本当にたくさんいると思います。だからそれによって「プラス」として捉えて自分に活かそうとする人もいれば、反対に「マイナス」に捉えて自分はまだまだレベルが低いなった考えてしまう人もいると思うんです。だからSNSをいい意味でうまく自分にあった風に活用することが大事なんだと思うんです。

えるさん
それあります!笑
といいますか、毎回それですよ。なんだこの人凄いな・・・自分なんて・・・って思いますけど、それって自分の足りていないところが明確になってる非常に良い過程なので、それをどんどん掘り下げていけるといいかなと思って使ってます。Twitterとか毎日嫉妬しちゃうくらいですよ笑笑
甘利
それは、とっても共感できますね〜。
えるさん

俺は呼吸めっちゃ頑張ってんだぞー!って思ってたんですけど、それって当院の理学療法士としてはそれなりにやってきてたってだけで、まだまだすごい人が沢山いて打ちひしがれたんです。

でもへこんでるだけなんで無駄な時間ですよね。だったら、その人達の講演とか行こうかななんて思ったんです。でも、聞きたいことって講演内容じゃなくて、その人がそのアウトプットをするまでの思考とか経歴とかそういうのを知りたかったんです。じゃぁ会いに行けばいいじゃねーか!ということで色んな人に会いに行っています。

甘利
「人に会うことが良い」ということは、皆、心の中では分かっている人もいると思います。でも実際に行動に落とし込めている人は格段に少なくなると思います。えるさんは「行動」まで落とし込んでいると思いますが、その原動力は何でしょうか?
えるさん

会ったら何か変わるからです。尊敬できる事が多ければ自然と付き合いは続きますし、より深くなれると思います。反対にSNSでの発言はなんなんだよって人と会ったら会ったで、今後その人に割く時間を減らせばいいですし無駄な事なんにもないですよ。

そのお陰でこの半年間で本当に沢山の人と出会えています。

たくさんの人と実際に会えたり、会いたいと言って貰えたりと本当にうれしい限りで、そこでは自分の知らない働き方や臨床感・価値観を持ってる方と出会えて本当に財産だと思っています。また、会って自分が何者かと言う事をしっかりと示せたのは「呼吸」というものに今まで自分が注力して、それがアイデンティティになったからと再認識できました。これも1つの成果かなと思います。

甘利
素晴らしいですね。「人に会う」というのはとっても勇気が要ります。自分の魅力や強み、もっと言えば「自分が不十分である人間ということを知っている」ことをしっかりと理解しているから、その行動をとることができるのかもしれません。「自分に足りないから求めに行く」というのが普通にできれば、成長しないわけはありませんよね。
えるさん
そうですね。でも、自分に自信が無い・自分に特徴がない・専門性がないとかは捉え方によっては白地のキャンバスみたいなもんです。それを武器に、みなさんで書きたい放題ですよーって感じで、そういった場に繰り出してみるのもいいと思います。ただ、情報のリテラシーは必要ですが・・・笑

ブログのきっかけと今後の展望について

えるさん

色々な病棟でリハをしますが、結構質問される内容は似通ったりしているんですよね。あと、看護師さんは特に勤務の都合で勉強会に参加したくても、どうしても日程が合わないって方がいらっしゃいます。もちろんその場で質問には答えますし、勉強会内容の概略なんかをお伝えしますが頭に残らないじゃないですか。だったらみんながブログにアクセスして振り返りができるようにと思って始めたのがブログです。

・院内の1人看護師さんからの質問内容に対し回答しみんなで共有する。

・勉強会内容も出席・欠席問わずに何度も確認ができる

・どうせならオープンにしちゃうか!

という感じで開設しました。

甘利

素晴らしいですね。不参加者への伝達をして行く頃は極めて重要ですが、それを簡単にアクセスできる「仕組み」を作ることは本当に素晴らしいと思います。

えるさん

意外にTwitter上でも反応も多く、検索してきてくれた人も多いのでびっくりしています。

 今はブログの記事も時々書いていますけど、しっかりと体系的に実践で使える呼吸の診かたをまとめていこうとnoteも作っています。かなりスライドも作りこんでいるので1か月に1テーマが限界ですが、これを継続していきたいなと思っています。

 

ハンバーガーがイメージキャラクターですが、その経緯は?

えるさん
単純に美味しくないですか?w  ハンバーガーって面白くて、バンズ・パティ・あとなんかがあれば成立するしバリエーションが無限大なんですよ。
甘利
でも、なかなかハンバーガーのシャツを見つけてくるのも難しいですよね 笑。そこまで何かを好きになるのも素晴らしいですね。
えるさん

先ほども少し話ましたけど、将来は在宅に行きたいんです。 在宅で訪問リハとかをただやるのは面白くないし、患者が我々の医療サービスを受け取るだけの構図は正直つまらないなと。何の制度理解も経済・経営知識もないですが、理想は患者に経済活動を長く続けてもらうシステム・場所を作りたいんです。

甘利
なるほど。
えるさん

ハンバーガーってパン作り・パティ作り・盛り付け・接客なんか区分けしやすいし、それでいて1つの作品になる。しかも若者と繋がれる場にならないかなと…まぁハンバーガー屋で高齢者の経済活動支援っていう理想を持っているわけです。

そーゆー事を実際にする!ってなったときに仲間集めようと思ったらハンバーガーキャラは有効かなと w

甘利
真面目に、それってすごく戦略的だと思います。求められるニーズに対して、期待される役割に対して、分かりやすく具体的な形で落とし込むって難しいですよね。だからこそ、えるさんの「ハンバーガー」というテーマ設定は、非常に戦略的だと思うんです
えるさん
だいぶ考えましたからね。ここで喋っちゃっていいのかな・・・笑

自分の性格や趣味などは?

えるさん

性格は…

自分がおもしろくないと思ったら全くできないです。

人からは切り替えが早いとか切り捨てがすごいとか言われるんですけど、もう駄目だなって思ったらほんとに駄目なんです。笑

でも興味があるところには突っ走れます。

趣味は…  ハンバーガー食べ歩いています。

 

甘利
笑。好きって大事ですね。自分が興味がないこと、楽しめないことはやらないっていうことは、極めてシンプルで合理的です。だからこそ「愚直なまでに自分に素直に生きる」という、えるさんの考え方は非常に共感できます。
えるさん
ありがとうございます!
全部のステータスを均一に上げていくなんて自分には不可能なので、好きなことに全振りでのめり込んでやっていきます。ってなると雇われってほんと向いてないんでしょうね笑

 

仕事の時間の使い方

えるさん

朝の9時台はほぼ関係病棟とのスケジュール合わせ・カンファに費やしています。

そのせいでほぼ昼飯抜きですが…笑

甘利

お疲れ様です。最近僕はフリーランスで訪問リハに従事しているので、病棟っていう響が非常に懐かしですね〜。でもどこで勤務していても、先ほど言われたようにスケジュール管理と、情報の共有はとっても大事だと痛感します。

昼ごはんは食べられないこともあると思いますが、それだけ頑張って働いてらっしゃるのが伝わってきます。

リハビリ職のスキルアップについて?

えるさん

専門性を高める前に、我々に関する法律や医療・介護保険制度をもっと理解すべきです。

理学療法スキルなんて患者状態を多少改善できる程度です。

様々な仕組みとリハ職のスキルを併せていくことがよりよい今後を生むと思っています。

手技よりも取り巻く環境を理解したほうが十分に力は出せますし自己満にならないです。

甘利

なるほど。その視点はとっても重要ですね。制度を知ることは、そのルールを知ることですからね。サッカーのルールを知らないのにサッカーをやるのは難しいですからね。

普段の臨床で特に大事にされていることはなんでしょうか?

えるさん

患者と他職種の考えを知る事です。患者は何を期待して何を求めているのか?

医師は今この患者状況をどう捉えているか? 看護師は何に困っているのか?

時間単位で対価が発生している数少ない我々リハ職は、患者の気持ち・本音をより深く知る事ができる可能性を持っている職の1つですし、医師の意図・看護師の意図も汲める知識もあります。双方に齟齬が生じないように取り持てますし、リハのスキルで解決することも提案できるかもしれないし、制度を利用すれば解決できるかもしれない…色々な提案を医療者側にでき、可能な範囲内で患者にも説明できます。

ただ漫然とリハするだけだとこの辺りは抜け落ちますからね

甘利
素晴らしいです。他者を知ることは本当に大事ですよね。自己満足で終わってしまうことは本当に戒めないといけない。だからこそ、お互いが自分たちの職域をしっかりと抑えつつ、隣の職種の職域に勇気を持ってオーバーラップをして行くことが大事なんだと思います。
えるさん
そうですね。何が行われるか理解したうえでのお任せと、無理解でのお任せは全く意味合いが異なりますからね。

 

学生の時にやっておけば良かったこと?

えるさん

遊びもバイトもやり切ったし、その点は後悔も、もっとしたいもないですね。

勉強面では実は学年で一番再試を受けた数が多くて、再試代10万円くらい払っています。笑

でもなんかテスト勉強が苦手で、1つ読みだして気になるところがあったらそこだけを調べぬいて学生のテストレベルでは全く関係ないところにいき満足して寝る、を繰り返していたので、それはそれで臨床に出てから役立っているので後悔ないですね。

ということで、学生時代には満足しています笑

甘利

遊びは大事ですね。学生の頃に「上手に」遊ぶことが大人になってから活きてくる。だから自分の子供には「うまく遊べ」「メリハリをつけて遊ぶ時は思いっきり遊べ」と言っています。今の「覚える勉強」ももちろん大事な面もありますが、新しいことを考えたり、いろいろなことに挑戦したりする、そう言ったマインドが学生のうちに育成できると良いなと思っています。

えるさん
そうですね。遊びとか飲み会・文化祭運営なんかも学生のうちなら楽しくやれますし、そこで得られる事って社会人でも相当活きてますからね。

 

これまでで一番印象的であった臨床は?

えるさん

肺がんで肺切除後に間質性肺炎を発症された方で、発症前までは山登りとか孫とテニスとか精力的な人がいらっしゃいました。

その方は、術後呼吸状態がほんとに悪くて、でもよくなるという希望も非常に強かったです。普通せん妄になるだろって状態を長期間耐えて、栄養面も徐々にクリアして何とかリハも介入できて・・・と改善してきて在宅酸素で自宅に退院されたんです。

家族も医療者側もまず生還して自宅に帰れただけで凄い感激だったんですが、本人は在宅酸素と労作時の呼吸困難のせいで全然晴れやかじゃなかったんです。

その1週間後に外来受診の際にリハ室に挨拶に来てくれて、ちょっと覇気がなかったんですが「外来にこれたよ。家でも散歩してるよ」って言ってくれたんですね。リハ室にこられて1時間くらい話こんでいたんですけど、家族と私はそこまでできてほんと凄いとか褒めたたえるような事ばっかり言っていたんです。

その数日後に自宅で自ら命を絶たれたんです。

多分あの日挨拶に来てくれたのは、できたことを認めてほしいわけでもなんでもなくて、これだけしかできないって状況を話しに来られたんだと思います。

我々の領域って機能的に底辺の状態から介入するので、感覚的に改善していくんです。でも本人からすれば良かった状態から急落して、底辺から這い上がったのにこれだけしかできないって状況なんですよね。

この認識がその当時の自分には欠落していて、あの1時間の話をあんな形で過ごしたんですよ。自死だけどあれは半分くらい自分が手を下したものだと思っています。

甘利
非常に考えさせられる内容です。でもとっても重要なことだと思います。

 

子供の頃の自分に言ってあげたいことは?

えるさん

「ちゃんと昼間働いてるよ」

多分自分は夜の世界で働いていると漫然と思っていたので笑

甘利

自分の5年後・10年後はどうなっていると思いますか?

えるさん

まーーーったくわからないです。

道筋は前述の通り立てていますが、今から色々な人と出会って軌道修正は日々していきます。

 

 

最後に若いセラピストに向けて一言!

えるさん
疑問が出ない日はなんにもしてない日だよ!
甘利
素晴らしい。今日は本当にありがとうございました!

編集後記

リハビリの仕事以外にもブログをはじめ、非常に精力的に活動をされている人は多い。
しかし、その中でも自分の信念に真っ向から挑み、学生の頃から決めていた夢にまっしぐら。
呼吸器に関する知識・技術は折り紙つきの、える氏。
それに普段着のシャツまで好きなハンバーガーで統一する精神はすごい。
これは決して笑い話ではなく、そこまで突き抜けられる人は、そうそういないということだ。
だから、そんな彼の竹を割ったような性格が、多くの人たちの共感を生み、
好意を抱く人たちが集まる。
まさに「人を集められる人」なんだと思う。
これからの大きな夢に向かってまだまだ道半ばだと答える、える氏。
今後の活躍に目が離せない。

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