2019年3月9日。
医療界から衝撃的な書籍が出版された。
それがこれだ!!
細川寛将 著
「コミュニケーションを止めるな!
〜答えは僕らの中にある〜」

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概要(ネタバレ注意)
本作は12名のセラピストが登場し「コミュニケーション」というテーマに沿ったそれぞれのエピソードを中心に書かれている書籍です。
著者の3名は「コミュセラ」という活動団体を運営し、多くの医療関係者に強烈な刺激を与えている有名な3名です。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「コミュセラ」。喜多さん、細川さん、鯨岡さんとコラボしたそのメンバーの濃さにも圧倒。
喜多一馬さん:大阪府在住 回復病院所属 理学療法士
(左:細川さん、真ん中:喜多さん、右:鯨岡さん)
さて、その活動はまだ結成から2年目ということですが、非常に多くの共感者を生んでいます。
さて、本作の中身を見て行きましょう!!
第1章 時代とのコミュニケーション 細川寛将氏
この章では細川氏の「コミュニケーションって何だろう?」にフォーカスされた内容です。
コミュニケーションとは「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達」のことと述べています。
ここでは「受け手が理解することで成立する」というコミュニケーションの本質的な視点を強調している。
コミニュケーションは一方通行ではなく、あくまで双方向であるべき。
また言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションに分けて考えることが必要である、と説いています。
メラビアンの法則によると、コミュニケーションにおいては言語的な部分を占める割合は7パーセントであり、残りの93パーセントは非言語的な部分で構成されています。そのため、いかに送り手がその点を理解して受け手にそのメッセージをしっかりと受け止められるよう配慮するかが、コミュニケーションの鍵となります。
また、これからの多くのコミニュケーションの場や自分のキャリアアップに活かすためのポイントも、細川節にてまとめられています。
第2章 臨床コミュニケーション
1 理学療法士 杉浦良介 氏
「自分の常識は他人の非常識?ルールは王様が決めるもの」
杉浦氏といえばSNSを中心に、訪問リハビリの先導者です。SNSやブログ、セミナーなど非常にマルチに活動しているお1人です。
訪問リハビリでは「信頼関係」が最重要因子だと杉浦氏は話します。
現場を通した「気遣い」の大切さや「作法」を紹介しています。
気遣いのポイントとしては、相手の反応や、そこにつながる会話です。
最後に訪問リハビリをこれまで経験した中で感じられたこととして「リハビリは体を動かそうとするより心を動かしたほうが結果的に体が動く」ということを話しています。
訪問リハビリの特性として各在宅での生活環境は様々です。その特性に応じた気遣いの仕方や作法は、コミュニケーションの基本中の基本と言えるでしょう。
訪問リハビリに従事する方々にとても参考になる内容となっています。
2 理学療法士 穴田周吾 氏
「プレゼンテーションはあなたのキャリアの武器になる?」
穴田氏は2019年4月現在、某大学院の経営学修士過程に通う理学療法士さんです。
若くして経営の中枢に携わるなどセラピストとしての期待はもとより、今後医療機関等の経営企画や運営、医療系コンサルタントなどに対しても、非常に有望な若手のお1人です。
そんな穴田氏のコミニケーションの切り口は「プレゼンテーション」。
セラピストは学会発表などで、人前にてプレゼンする機会は多くあると思います。でも苦手な人も多いでしょう。
人に自分の考えを伝えるという点で、プレゼンテーションはコミュニケーション技術が非常に問われます。
穴田氏の秀逸なところは、あくまで学び続けるという点にあります。(年間100セミナー参加など)
PT1年目にあった苦い経験も紹介しつつ、それからの自分のトレーニングの日々を具体的に説明してくれています。
プレゼンテーションスキルも一朝一夕では獲得することはもちろんできません。
穴田氏の素晴らしい今のスキルの背景には、並々ならぬ努力が垣間見えてきます。
しかしその努力を多くの人にも分かりやすい表現でこちらに記載されていて、プレゼンテーションに悩む方々に特に参考になる内容だと思います。
3 言語聴覚士 蛭牟田 誠 氏
「鹿児島セラピスト「むたどん」!〜日本から世界で活躍すると決めたでごわす〜」
蛭牟田氏は鹿児島県の出身です。
それから「県外に行きたい」という夢を持ちつつも、まずは鹿児島にて就職。
その後さらなるスキルアップを求めて愛知県の病院に転職をします。
その転職の間の有給で海外一人旅を経験。「日本が全てでない」ことを知ったそうです。
英語がものすごく得意ではないと話していますが、ノンバーバルコミュニケーションを駆使し、世界の人たちとコミュニケーションを取ってきました。
そこでは「幸せ」について考えさせられたと言います。
言語が伝わらないというのは、コミニュケーションの制約の中では非常に大きいものですが、これを蛭牟田氏の積極的な姿勢と多くの工夫によって、コミュニケーション能力以上の経験や自身が得られたと話しています。
このように、自分の世界観を広げるツールとしてコミュニケーションは非常に有効に働きます。
SNSや専門学会等の発表を通じて、多くの学びを得る事はもちろんのこと、共感する仲間に出会うことができます。
これまで日本基準で物事を考えていたところから、世界基準で考えられるように蛭牟田氏は変わることができたと言います。
「世界に目を向けるように」
4 理学療法士 八木 大樹 氏
「口下手だから良い。タッチング・コミュニケーションの実践」
信頼関係を構築するには何が必要なのか?
八木氏は相手に対する思いやりが重要であると話しています。
ここでは相手に「触れる」という点を切り口として話をしています。
他者に「触れられる」という事は非常にストレスを感じます。その中で相手がリラックスして「触れられる」準備ができているかを、しっかりと確認することが大事です。
特に異性であればもちろんこの感覚は納得でしょう。
しかし私たちセラピストは、他者に「触れること」が日常的な仕事であり、当たり前のように毎日「触れる」という行為をします。
患者さんからすれば「触れる」ということが非常に特殊であり抵抗を感じることでしょう。
そのことをセラピストは十分に認識をして、細かな配慮が必要であると彼は話します。
プライベートゾーンへの距離感、触れ方、またその触れる頻度や速度など細やかな配慮が必要です。
具体例を持ってこちらでは紹介をされています。
これらから、いかに「相手のことを考え実行できるか」がコミュニケーションの鍵であるとまとめています。
5 理学療法士 大平 拓巳 氏
「不眠の理学療法士が患者のために睡眠で自分をアップデートした話」
睡眠について述べられた話。
睡眠の外部環境分析について書いてあったり、睡眠の実践から得た体験についても述べられています。
例えば睡眠に良いと思われる食事をとること。睡眠時間を決めること。運動習慣をもつこと。などです。
また、実際に大平氏が行った日常の生活習慣も紹介されています。
睡眠が改善することにより日常生活の多くにプラスになっていることが分かりやすく書かれています。
特にその中でも、これら自身の経験に基づき、実習生指導にも生かされている点は興味深いです。
実習生はどうしても睡眠時間が短くなりがちであるその点を踏まえ、彼らの睡眠時間や体調管理を日々の指導の中で気にかけることで、実習効果の最大化を図っているのです。
相手の体調管理に配慮するという姿勢は、コミュニケーションの基礎となる部分で非常に重要であるでしょう。
また自身も良好な睡眠が確保できれば、他者にも優しく接することができます。
幅広い意味で、良好なコミュニケーションを取るためのひとつの手段として「睡眠環境の改善」があると感じました。
6 理学療法士 楠村 和也 氏
「交通事故から復活して理学療法士になった話」
このエピソードは非常に衝撃的でありました。2009年に楠村氏は、PT学生の時に交通事故に遭遇したのです。
その後、救急隊に搬送され顔が歪むほど激痛の中、左上部腕骨骨幹部骨折、下顎骨折と診断されたのです。
当然そのまま入院となりある日突然患者となるのでした。
僕らセラピストは、当たり前のように毎日病棟で患者さんに会います。
そして、当たり前のように患者さんのお部屋に行き、カーテンを開けるのです。
そこには、僕らが思っている以上にプライバシーは配慮されていませんでした。
下顎骨折のため、自分の思ってることをうまく伝えることもできず、トイレにもうまく立てなかったのです。
コミニュケーションが上手く取れないことの弊害が、実は身近な病棟で行われているのです。自分の普段の行動を考えさせられる一節です。
しかし暗い話だけではなく、そこで出会ったPTの先生や学校の先生の対応や言葉に、とても感銘を受けるのです。
自分が患者であった気持ちが分かるから、患者に優しくすることができる。まさにコミニケーションの1番大事な部分がここでは語られていると思います。
第3章 家族とコミュニケーション
1 理学療法士 田中 好 氏
「共働きお母さんに送る、家庭も仕事も楽しく過ごす気持ち術」
共働き家庭のリアルが描かれているエピソードです。
例えば、毎朝の戦争のような家事や子供の支度、そして自分の準備の慌ただしい生活の中で、ご主人に対する思いや葛藤が書かれています。
忙しい日々を過ごすうちに、暗い気持ちになることもしばしば。
しかしそんな自分の感情と向き合うことによりその気持ちに変化が訪れました。
理想の自分と本当の自分のギャップを感じ、落ち込むなんて言うのは僕らも当然あります。
本当はもっと自分のステキなところがたくさんあるはずです、と田中氏は言います。
今の私はどんな人間なのかをじっくりと考えてみる。自分の内側と向き合うことにより、これまでの悩みや苦しい考えは前向きに変わってくんです。
「自分のことを知らないのは自分」です。そして「自分のマネージャーは自分自身」なんです。
共働きの中の葛藤という一場面を紹介しつつ、自分に向きえた強い田中氏の姿がそこには描かれています。
まさしく自分との対話(コミニケーション)の重要性を教えてくれるものでした。
2 理学療法士 平田 由美 氏
「育児はセミナーよりも役に立つ。1療法士として大切なことは子育てが教えてくれた」
子育て世代の療法士は、育児と仕事の両立に日々悩みます。
日々の時間管理はもとより、療法士としての学習や慣れない育児について悩みが尽きません。そんな中、自身を失うこともあったそうです。
例えば
・子供が教えてくれた行動よりも心をみるということ。
お子さんの育児に対しての悩みや不安、母親として自分は何ができるのか、何を学ぶべきなのか、多くの人と情報交換し試行錯誤した日々は本当に貴重だったそうです。
まさにリハビリテーションそのものだったのではないかと結論付けています。
・自分の中の理想の父親母親像は相手も自分も苦しめる。
日々メディアが報じるイクメンのイメージに、ご主人も苦しめられているかもしれない、そう思ったそうです。
そして平田氏自身も、自分の中でのもやもやと葛藤に苦しんでいました。
しかし、お互いの苦手を認めて、得意を伸ばすことに視点がうつると価値観は変わりました。
「私たち夫婦独自のスタイルを作る。」
そのことに気持ちが向いたとき、新しい夫婦のコミュニケーションが始まったのでしょう。
子供は大人の理想通りには動いてくれませんし育ってもくれません。子供目線で世界を見てみることが良いのではないでしょうかと、まとめています。
3 理学療法士 喜多 一馬氏
「あなたがいないから、そばにいて」
喜多氏の悲しい、そして大事な過去がここでは述べられています。
僕には涙なしでは読むことができず、何度もキーボードを押そうとするのですが、ここで感想を述べることができませんでした。
ぜひ、多くの皆さんに読んで頂きたい「最愛のコミュニケーション」です。
(喜多氏 こんな軽々しい表現に終始してすいません・・・)
第4章 チーム運営コミュニケーション
理学療法士 中山 陽平 氏
「圧倒的リーダーの次の人」
中山氏は会社の社長になられました。しかし前任者と比較がそこでは厳しくされたのです。
社長就任時は、誰でも最初は素人。
だからこそ、比較されると勝てるわけがないのです。
前任者の残像が残る中、中山氏は知識をつけることから努力を始めます。多くの書物を読んだり日々の分析をしたり。
しかしある時、その学習の中で「コミュニケーションの重要性」を考えさせる書物に出会うのです。
そこから戦略的に社員と向き合う日々が始まりました。
組織を変えることができるのは、チャレンジができる環境にあるからだ、そう中山氏は話します。
上司は「YESマン」であるべきで、とにかく社員に話をしてもらうことの大切さと重要性を説いています。
圧倒的なリーダーなんか要らない。要るのは社員とともに常にコミュニケーションを取りながら素晴らしい環境を気づいていくことなんだと感じさせる一説です。
第5章 動機付けコミュニケーション 鯨岡 英一郎 氏
コーチングの資格を有する鯨岡氏の話。
ここでは感想云々ではなく、黙って書かれている文章を読んで勉強することをお勧めします。
ここだけでセミナー1つ成立しますね。
ただ1つだけポイントをかくと
ちょっとした機会に他者に声をかけることの重要性
を強調していますので、それは非常に共感です。
第6章 コミュセラジオ・コミュセ座談
ここでは本書籍の著者である3名の対談や、その他の方々を含めた対談が書かれています。
非常に親しみやすい雰囲気の中で、ミュニケーションという切り口だけでなく、多くの視点で語っています。
まとめ 編集後記
コミュニケーションって自由なんですよね。
だからこそ違いを尊重しあい、お互いの意見を大事に取り入れる。
どう処理するかは個人次第だけれども、まずは一旦受け入れる。
そんな基本的かつ大事な視点を気づかせてくれる書籍です。
久しぶりに涙を流しつつ読んだ専門書?です。
でも、コミュニケーションって常に身近で、そして親しみやすいことなんでしょう。
堅苦しく表現せず、身の丈にあった言葉の言い回しや、絵コンテなど、読む人全てを幸せにしてくれるそんな書物に出会えました。

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