若き理学療法士 世界に飛び立ち、自分を見つめる  若手セラピストインタビューVol.8-2

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第2回は、これまた非常に面白いお話が満載です!

こんなに「えーーー!」と言ったのは久しぶりですから(笑)。

是非、じっくりと読んでください!

これまでのインタビュー記事はこちらです!!

インタビュー リンクまとめ

Vol.8 名古屋市在住 理学療法士
男性   30代 野田 将嗣 

1回目の記事はこちらです!

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理学療法士「福祉用具をデザインする」 若手セラピストインタビューVol.8-1

 

 

趣味ってそんな感じで生まれるの?

好きなことは何ですか?

野田 趣味というと銭湯好きですね。それと山登りかな。

KoKoRo 色々な写真を見ると、山登りの写真を見かけましたが、いつ頃から始められたのですか?

野田 25歳くらいの時に山登りを初めてしました、ヒマラヤで。

KoKoRo えっ? 今、なんと?

野田 ネパールに行ったんです。リハビリをやりに。そこで初めて登ったんです。

いざ、ネパールへ!

KoKoRo いやあ、ちょっと待ってくださいね。頭が混乱して来ました(笑)。まず、ネパールにはどうして行ったのでしょうか?

野田 学生の頃から何かしら海外での関わりを持ちたかったんです。青年海外協力隊に行こうと思っていたり、結構真剣に考えていました。でも教員をやる前は急性期〜回復期の病院に勤めていたんです。そこでもやっぱり海外に行ってみたいなってずっと思っていたんです。

KoKoRo なるほど。

野田 海外での実務経験がない、それに経験も浅い自分はすごく価値が低いって思っていました。だから3ヶ月間だけ自費でネパールに行くことにしたんです。リハビリをやりに。

KoKoRo そこがすごい・・・。

野田  当時の上司に相談したら当然反対されました。でも色々と調べて、その病院で過去に医師でそういった事をされた方がいたのを発見したんです。それを説得材料に事務の方の協力を得る事で、管理者側へ直談判しました。それで院長許可を頂く事ができたんです。

KoKoRo なんだか、これもまたドラマみたいな展開ですね・・・。

野田 目で見ないとわからないじゃないですか?だからどうしても海外に行ってみたかったんです。

KoKoRo それでネパールに行かれたのですね。

野田 実際にネパールに行ってみて、最初のインターン先も首都にある病院だったんです。でもそこは教育インフラが整っているから、実際僕が行きたかった所と違うなって思って、過疎地に行きたいとお願いしました

KoKoRo イケイケですね!完全に突き抜けていています(笑)。

野田 自分がせっかくここまで来たんだからと、過疎地のリハビリ施設に行かせてもらいました

KoKoRo それがこの写真ですね。

野田 はい、ホームステイしながらリハビリをさせてもらっていました。非常に有意義な時間になりましたよ!

KoKoRo でも話をちょっと戻って良いですか?リハビリをやりにネパールに行って、なぜヒマラヤに登ることになったんです?

野田 そこには色々な国から医療従事者が来ていました。ある国の看護師さんから「1週間休んでトレッキングに行こう」と誘われたんです。最初は遊びに来たわけでないから断っていたんですが、そこに来ていた青年海外協力隊の人に「海外の人からそんなに言われるのは珍しいから行ってみな」って言われたんです。働いていた施設のボスも「ネパールのキレイなところも見ていって欲しい。」と言ってくれたので行く事にしました。

KoKoRo なるほど。

野田 そしてトレッキングだから比較的軽装で行ったんですが、まさかの5400m!!

KoKoRo えーーーーー!富士山より高いじゃないですか!

野田 なんだかんだで登り切っちゃったんですが、それが僕の初めての登山でした。それからいくつか登りましたね。

KoKoRo 話の展開がすごすぎて、やばいっすね・・・(汗)

野田 結局、帰国後も登山はハマっています。

帰国してからの変化

KoKoRo 帰国してから心境の変化はいかがですか?

野田 ネパールに行ってから「海外でやりたい」と思うことが実は少なくなってきたんです。子供じみた考えかもしれません。海外にある課題を僕の力では解決できるとは思えなくなってしまったのかな。だからまずは日本でやろうと思ったんです。どこにいても目の前にいる困っている人の力になるのは同じだなと。海外も日本も課題は同じであれば、日本から良くして行こうと。

KoKoRo 課題に向き合ったからこそ、足元を固めるきっかけになったということですかね?

野田 海外でずっとやりたいという人は、本当に一生モチベーションが続く人がやるべきなんだと思ったんです。

KoKoRo 僕は海外でそういった活動をした事がないから分からないけれども、行った人しか分からない感覚があるんでしょうね。でも、海外に行った経験は今、とっても生きているのではないでしょうか?

野田 そうですね。行った経験は生きています。海外は女性が多かったです。やっぱりそういう飛び抜けた人は女性が多いのかなと思いました?

KoKoRo 英語は得意だったのですか?

野田 いえ(笑)。得意ではなかったですが、YouTubeと友達に教えてもらって出国前に勉強しました。

KoKoRo YouTubeって本当に便利ですね。でも僕は人見知りもあるし海外に行く勇気もないから、野田さん本当にすごいです。

野田 僕も、もともと人前が苦手だったんです。よく「海外に行ってもボディランゲージで何とかなるよ」っていう人がいますが、僕はそういう人は信用していません。だって僕らはプロとして行くのだから、遊びじゃないんです。だから英語が話せませんとかはプロとしてはダメだろうと思っています。すごく無責任。「英語できなくても大丈夫」なんて本当にダメです。

KoKoRo 確かに。本当のプロなら何が何でもプロ意識を大切にする。本田圭佑選手とかまさにそうですね。

野田 僕は基本的には人見知りなんですが、距離感をうまくとりながら関係作りはできていると思います。若い時は、特にこんな感じで突拍子も無いことをしていましたから、否定されたことも多いです。でも開口一番で否定する人は大抵ダメなんです。やったことない人が否定するんです。

KoKoRo それはまさにその通りですね。やっていないからその価値も大変さも分からない。否定する人たちの共通点ですよね。

 

 

リハビリ職の多様なスキルアップについて

これからの人生は?

野田 まだ正直分からないですね。悩む時期かもしれない。形にしたいことはたくさんあるが、まだ模索しています。

KoKoRo すでに一歩は踏み出されていますよね福祉用具の開発に関しても本当に素晴らしい取り組みです。

(福祉用具の開発に関しては、第1回の記事を参照)

野田 色々とプロジェクトを進める中で、「お金に対して度外視する人」に対して正直もう少し考え方が良いのではないか?と思っています。後輩が見て「ああなりたい」と思ってもらえる先輩になりたいし、彼らに夢があるようにしたいんです

KoKoRo 素晴らしい。

野田 「月給10万のプロ野球選手に魅力ありますか?」やはり素晴らしい選手や僕らのような専門性を追求したプロフェッショナルも、ボランティアではなくお金という形で評価されることも大事だと思っています。あと「介護職員による利用者への虐待事件」も、職員の待遇が良ければ件数は減っていると思うんです。だから「お金」に対してもしっかりと向き合うべきだと思っています。

KoKoRo 自分という価値をしっかりと高める事が大事ですよね。

野田 はい。先ほど話した福祉用具の開発に関しても、セラピストは仕事上機能性を見てしまいがちだと感じています。こう使うべきだ、こうしないとダメだ、と。だから異職種・他職種でやると視点の違いで「目からウロコ」なんです。こういう発想は海外での経験も大きいです。異業種とのコラボは本当にハッとさせられる。

KoKoRo 医療界はまだまだ全体的に閉鎖的で、井の中の蛙になりがちです。リハビリという世界も同じです。自分が意識して他の業界と関わらないと、時代の流れに全くついていけなくなる可能性があります。

野田 そうですね、医療業界はまだまだ他業界とコラボができるんじゃないかと感じます。もしかしたら、専門性へのこだわりのあまり、エゴが強い人が多いかもしれません。少し違うかもしれませんが、過去にも病院の清掃をしてくれるスタッフに挨拶しないセラピストがいたので、僕はその彼を叱りました。なぜ、医師や看護師に挨拶をして、清掃のスタッフに挨拶をしないのか?僕は本当にそういうのが嫌いです。セラピストはややもすると」国家資格への驕りが生まれてしまうかもしれない。そこは注意しないといけない。

KoKoRo  とっても分かります、そのお気持ち。僕も清掃の方々や送迎を担当する方々、そして全てのスタッフに均等にリスペクトがあるべきだと思っています。

野田 そうですね。全ての人に対してリスペクトがないといけないと思っています。

KoKoRo さてさて、長くなってしまいました。ヒマラヤの話などは、非常に面白くて、それだけでもまだまだ聞いていたい所ですが、2時間も話を伺えたので今日はここまでとさせて下さい。本当にありがとうございました!

野田 こちらこそ、貴重な時間をありがとうございました!

編集後記

野田氏の「突き抜けた行動」は、外から見ると「突拍子がない」と映るかもしれない。

しかし、そこには本人の緻密な戦略と迸る熱い想いが秘められている。

それが彼の原動力であり「背中で後輩に伝えていく」という強いリーダーシップなんだと思う。

今は教員と臨床をやりつつ、福祉用具をデザインしている。

それも「突拍子がない」のではなく、セラピストの新しい形を他業種とコラボすることで表現されようとしているのだ。

「福祉用具をデザインする」のと同時に「自分自身を常に美しくデザインしている」のだろう。

 

 

 

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