理学療法士「福祉用具をデザインする」 若手セラピストインタビューVol.8-1

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今日は、第7回でインタビューした武田さんからご紹介を頂いた方です。

これまでのインタビュー記事はこちらから!!

インタビュー リンクまとめ

KoKoRo 野田さん、本日はよろしくお願いします!

野田 よろしくお願いします!

KoKoRo さて、野田氏の普段の生活を伺って行きましょう!!

Vol.8 名古屋市在住 理学療法士
男性   30代 野田 将嗣 

KoKoRo 紹介頂いた武田さんとは、ここ2年くらいで知り合ったとのこと。このインタビューは基本的に「いいとも」形式のため、インタビューが終わったら、次の方を紹介頂いています。野田さんの魅力は既に武田さんから伺っています!HPやインスタグラムなど拝見しました。

野田 ありがとうございます!

KoKoRo その辺もゆっくりとお聞かせください。

野田 はい!

経歴

今の働き方

KoKoRo これまでの簡単な経歴を教えてください。

野田 今はPTの夜間部の学校で教員(常勤)をしています。でも臨床が全くなくなるのは嫌だったんで、週の何日かは昼間に臨床しています。

KoKoRo 珍しいタイプの働き方ですね。教員されていながら臨床。でも教員としてのコマ数も結構多いのではないでしょうか?

野田 そうですね。6〜7つくらいは科目を持っていますから、それなりに忙しいです。

KoKoRo 1科目あたり15単位くらいありますもんね。それは結構大変です。

野田 基本的には平日勤務がほとんどです。臨床は病院(一般病院)と療育センターに従事しています。療育センターでは、重症心身障害児の呼吸器リハが中心です。

KoKoRo すごい教えて頂きたい事ばかりです。発達障害の子供も見られますか?

野田 はい、今は発達障害の子も見ています。

KoKoRo 週の割合としてはどんな配分なんですか?

野田 月・火・金は1日教員。木曜日も昼間のみ講師。月曜日のAMと水曜日とは病院で勤務しています。あと火曜日は療育センターの外来リハやってます。学校は遅いと夜10時くらいまでありますね。

KoKoRo いやあ、結構大変じゃないですか?休日は週末決まっているとしても、結構平日がハードですね。

野田 そうですね、でも自分のペースでやっていますよ。

小児リハビリについて

KoKoRo 小児へのリハビリですが、僕がPTの先生のリハビリをあまり詳しくないので、どんなことをされているのか少し教えて下さい。

野田 僕は呼吸器に問題を抱える子と関わることが多いので、換気障害へのアプローチや、家族指導を大切にしています。もちろんニーズはそれぞれなので必要に応じてですが、呼吸機能へのアプローチが主体です。それと、小児へのリハビリは頻度が1〜2週間に1回で行っているため、家族指導に力を入れるようにしています。僕が行うリハビリというのは「1〜2週間に一度はしっかりと換気を促して胸郭の柔軟性を維持・改善してもらいたい」というアプローチになります。

KoKoRo 家族指導はとっても大事ですよね。それは僕も訪問リハに行くと本当に思います。でも正直な話、家族指導していてその何割くらいが家族に伝わっていると感じますか?

野田 僕の感覚では「10に対して3くらい」だと思っています。

KoKoRo 結構高いですね。

野田 僕が関われる時間は少ないので、少しでも家族にやってほしいと思っています。変化を感じて頂けると、積極的に行ってくれる方も多くいらっしゃいます。

福祉用具をデザインする

福祉用具の商品開発

KoKoRo 驚いたのは、野田さんが福祉用具の商品開発を手がけられている点です。

野田 そうなんです。幼馴染3人と企画して行っているんです。

KoKoRo その3人とは?

野田 医者とデザイナーと僕(PT)ですね。

KoKoRo それはまた面白いパートナーです!どう言った経緯で商品開発することになったのですか?

野田 名古屋に「大森」という町内があるんですが、そこで小さい頃から一緒だったんです。気の知れた友人です。今は二人とも東京にいるんですが、数年前に居酒屋でふと話を僕が出して見たんです。「何か、3人で新しいことをやらないか?」って。最初は「なんだよ、それ」みたいにすぐ断れると思ったんですが「良いね、やろうよ」と二つ返事でOKだったんです。そこですぐに紙とペンをお店に借りて、書き出したのが今の商品開発のきっかけでした。

KoKoRo すごい、なんかドラマみたいですね。

野田 そこからは、みんなで知恵を絞って

「医療×デザイン」

と言うコンセプトで形にして行きました。

KoKoRo それがこちらですね?

杖を持つ手を暖かく、新しい防寒具。

野田 そうなんです。まだ実は開発段階なんですが、あるコンペに出展して見たら、いきなり賞を頂くことになって、僕らも驚きました。

KoKoRo 本当に素晴らしいです!

詳しくは、このインスタグラムやHPを見てみると分かりやすいですね。

teamohmori ページ!

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野田 医者の友人は本当に忙しくて、それにデザイナーの方も実は大手のデザイナーなので超多忙。企画にはもちろん皆で参加してたのですが、短い時間の中で知恵を絞り合ったと言う感じです。

KoKoRo そこがすごいですね。東京にいる2人とコンタクトとりながら形にするって結構難しいですよ。でも何故「福祉用具をデザインする」ことにしたのですか?

野田 僕がある時に脳性麻痺の男性にお会いしたんです。その方が「日本の電動車椅子が格好悪すぎて海外製品のおしゃれな感じが良いんだ」と言われたのに、本当に衝撃を受けたんです。臨床の中でも、杖を提案すると「年寄り臭い」「ダサい」と言われ拒否される方も多くいますしね。

KoKoRo なるほど。

野田 友人のデザイナーとも話していて「機能も大事だがデザインも大事なんだよ」と言われて、何だか繋がった感じがしました。

KoKoRo そうですよね。デザインを重視すればするほど機能を削る事に繋がりかねない。

野田 機能性とデザイン性との関係って「機能性から行きがちなんですが、一旦機能性を先に入れるとデザイン性を後から打ち出せなくなる」んです。機能が損なうことを恐れて。

KoKoRo なるほど、それは本当にそうかもしれません。すごく納得です。

野田 もちろん、安全性や機能性も担保しなければなりません、しかし本当に最高の安全で機能的なものを望む人にはそれも良いと思うし、デザインを重視したい人にはその選択肢もあって良いと思ったんです。スマホケースなんかは良い例な気がします。

KoKoRo 素晴らしいです。福祉用具ってどうしても安全性や機能性が重視されがちで、それ自体は大事な事だけども、ほぼ全ての商品が同じ様なデザインなんですよね。女性などはおしゃれなものを使いたいという心理が働くのは間違いありません。

野田 はい、杖でも車椅子でもすごく身近に使うものですから、使う方が納得するものを考えられないかなと思ったのが商品開発のきっかけなんです。

KoKoRo 本当にカッコいいんですよ、こちらの商品。杖と言うある意味直線の単純な構造に、曲線をプラスし温かみを出している。保温効果のための商品なんですが、形からもその温度を感じます。

野田 ありがとうございます!自転車に乗っているおばちゃんがきっかけでした。曲線にはかなり「こだわり」ました!それと素材やボリューム感、色々と試行錯誤してここまで来たという感じです。

 

KoKoRo これからは、販売も視野に入れていくのでしょうか?

野田 まだ細かい修正や手続きなどがあり、そこは3人で進めています。近いうちに販売して行きたいと考えます。

 

今後の研究開発の予定は?

野田 他の案も出ています。ただこれが落ち着いたら次に進もうとしているんです。

KoKoRo みなさん本業をしつつ開発していくのは至難の技でしょう?

野田 忙しいのは楽しいですよ。あと、僕らが非常に大事にしているのはお金の問題ですね。

KoKoRo なるほど。

野田 僕らは常にフラットな関係なんです。幼馴染だから良いという反面、逆に気を使ってしまう事もあるし、言いたいことが言いにくい事もある。そのハードルになりそうな資金面の問題は絶対にクリアしたいと考えているんです。

KoKoRo 野田さんは簡単に話されていますが、とっても難しい事ですよね。大概どの会社も小さなグループも「お金のトラブル」でうまく行かなくなる。それを最初から考えて運営している、本当に素晴らしいです。

野田 やり出してみて本当に感じますが、他の人と一緒にやると「人と生み出したものが面白い」んです。PTって対象者と一対一で向き合おうとする人多いじゃないですか?それって絶対に限界があると思っていて。だから色々な人とコラボして新しい事にチャレンジしてみたら良いと思っています。

 

 

時間の使い方

KoKoRo そんなに忙しくされているのに、どうやって時間を捻出しているのでしょう?工夫している点はなんでしょうか?

野田 実は全く工夫はないですね(笑)。強いて言えば、僕自身が気持ちの切り替えが下手くそなんで、切り替えられる環境は意識して作っています。例えば一人になる時間を作ったり、職場に早目に行ってボーっとする時間を作ってリセットしたりする。夜も帰る前にゆっくり帰ってみたり、そんなとこでしょうか?一人になるの大好きなんです。

KoKoRo 一人の時間って大切ですよね。気持ちの切り替えができないと、イライラしたり、集中できなかったり、良いことが少ないかもしれません。

 

 

〜第2回に続く〜

第2回は、まだまだ野田さんのビックリするような側面が見られます!!



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