理学療法士 「自分というブランド力」を高める 若手セラピストインタビューVol.7

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今日は、第1回のインタビューでお話を頂いた西口氏のご紹介です。

これまでのインタビュー記事はこちらから!!

インタビュー リンクまとめ

今日は、そんな西口氏と学生の頃からのお友達。

武田さんにインタビューして行きます!!  よろしくお願いします!

 

 

武田さんは、とっても清々しい雰囲気の超イケメンです。

西口氏と同様、カッコいい人の周りにはカッコいい人しか集まらないのか!?

それなのに、2月ということもあってか、初対面なのに

チョコをプレゼントしてくれたんです!!

(写真はそのうちの1つです)

名古屋で人気のチョコです。これ、ちょっとキュンキュンでしょ?

場所などは秘密です!(笑)

さて、本題に移ります! 武田氏の普段の生活や想いなどを伺って行きましょう!

 

 

Vol.7 愛知県在住 理学療法士
30代 男
      武田 和之

経歴

KoKoRo これまでの簡単な経歴を教えてください。

武田 最初は2年間、今のところと違う地域の関節鏡センターで働いていたんです。すごくストイックに、膝の関節鏡手術後のリハビリなどを行っていました。

KoKoRo そちらは僕の家からそんなに遠くなさそうですね。でもすいません、ご存知でなくて・・・。

武田 はい、実は数年前に院長がご病気でお亡くなりになりました。それで次の日から関節鏡センターを開業できなくなったんです。僕ら職員は患者さんに案内を書いたり、センターの前に立って説明したりしたんです。僕も含めて全ての職員は、院長が亡くなったと思いたくなかったと思います。そのセンターで毎日何かしらできることをしながらも、次のことを考えて転職することになったんです。それで今の職場に移りました。

KoKoRo そうなんですね。それで最初のセンターが閉院という形になってしまったのですね。非常に残念な転職となってしまったわけですが、新しい職場に移られるに当たってはどうでしたか?

武田 就活の段階から、どこに就活しても「しっくり」こなかったんです。色々と悩んだ結果「一人職場」を選びました。その頃はPT3年目です。それからは毎日が「いばらの道」セラピストは一人もいなかったので、そこから作り上げて行くのに本当に毎日死に物狂いで働きました。今はやっとセラピストが4〜5人くらいの職場になりおちつきましたが当時は本当に大変でした。

KoKoRo 「立ち上げ」って本当に大変ですよね。僕も摂食嚥下チームを作ったり、いろいろな組織を作ったり潰したりしてきました。新しいものを作ったり、現状を変えて行くというのは本当に大変です。

武田 そうですね。でもそこで毎日奮闘していることで、前向きになれました。だから忙しいのが逆に良かったですね。

KoKoRo 確かに。毎日変に時間があると色々と考えてしまいますし、集中している方が充実しているということもあります。いきなりゼロスタートだったわけですが、転職したということと、セラピストがいないということで、次の職場でのスタートは想像を絶する大変さだと思います。その点、特に他職種との関係はいかがだったでしょうか?

武田 非常に良かったですね。うちの職場の特徴を最初にお話ししないといけないですね。

職場・法人の特徴

法人の特徴

武田 スポーツ疾患の方が多いのが特徴です。医師は1人で看護師さんを始め職員の仲がとても良いんです。

KoKoRo 仲が良いと言うのはクリニックのような小さい規模の組織では特に大事ですね。僕も医師や看護師だけでなく、栄養士さんや医療事務さん。クリーンさんと送迎担当のみなさん。そういう、職場では少数かもしれないそれぞれの職域の方々としっかりと垣根なくコミュニケーションが取れる組織が本当に強い組織だと思っています。

武田 小さなクリニックというのは良くも悪くも風通しが良いですから、横の連携が鍵になります。大病院のような縦割りの組織構造というのは基本的にはありません。だから最初セラピストが僕しかいなかったのですが、一から作っていくことに周りの皆さんも協力してくれました

 

 

残業について

KoKoRo 毎日残業も多かったでしょう?残業についてどう思いますか?

武田 リハビリ部を作っていき、地域に根付かせるのに3年はかかったかな。残業が多かったです。患者さんに結果を出すことは当たり前です。その頃、野球教室を4つほど掛け持っていたしかなり忙しかった。それでも野球教室という場を通じて、本業の広報もできていたと思っています。そう行った流れから、母校の先生にたまたま会って、サッカーのトレーナーになったりもしました。好きだからやり切れたと思います。

KoKoRo 確かに、色々な場面を有効に活用することが、結果として本業や一番やりたいことに帰ってくる。

武田 そうですね。

 

 

自分の活動内容

自分の性格や趣味・普段の活動内容は?

KoKoRo スポーツ疾患の患者さんが対象として多いということでした。武田さん自身、これまでどんな運動歴でしたか?

武田 これまでサッカーを小学校から高校までやってきました。それ以外は特にありませんね。

KoKoRo あれ?実は事前の武田さんの情報だと「野球やチアリーディングのトレーナーなどを行っている」とありましたが、これまでの経験では、それらはやってきていないのですか?

武田 実はそうなんです。野球とチアリーディングのトレーナーを今はやっているんですが、経験してきた訳ではないです。

KoKoRo それもすごいですね!どういったことを実際に行っているんですか?

武田  一言で言うと、野球はフォーム指導がメインで、チアリーディングは選手のケアが中心です。野球の指導では、投球などのフォームのチェックをしています。

KoKoRo 筋トレとかを進めているのですか?

 

 

子供のトレーニングに対する考え方

武田 それもあります。あと僕の筋トレに対する意見としては、10歳までは運動神経が発達するからダイナミックな運動を頑張ってもらいたいと思っています。今は高校生を対象に指導していますが、小さい子供達はまずは細かい技術よりも粗大運動の練習に力を入れて欲しいなと思っています。

KoKoRo  そうなんですね。その辺は理学療法士的な視点かもしれませんね。スポーツインストラクターさんもこのような考えで指導しているんでしょうが、もっと医学的な視点はPTさんが専門領域で活躍できると感じています。でも、高校生も今やスポーツジムに夕方通っていたり、外部のインストラクターに個別指導受けている人も増えていますよね。

武田 そうですね。高校生は今はすごい競争が激しいです。プロの道を目指すトップレベルの人になりたいのなら時間外にスポーツジムや個別指導に行かないととても厳しいです。僕もプロを目指す人たちには「外部のジムなどに行くべき」と言っています。

KoKoRo 僕の長男も中1でサッカーをやっていますが、トレセンとかクラブチームとかありますね。勉強なら塾や家庭教師もある。より専門的な指導や個別的な指導がどんどん高まってきています。なぜでしょうか?

武田 トッププロの指導を高校生が以前より身近に受けられるという時代の流れが大きいでしょう。「野球塾」という専門のところで指導しているところもあります。「野球塾」なんかは本当に毎日誰か学生が来ているんですよ。すごくニーズがあるんです。いわゆる小中学校のスポーツ塾なんです。

KoKoRo なるほど。スポーツ界もどんどん変わってきているんですね。

武田 小中学の子が、元甲子園球児や元プロに教えてもらってたり、プロ選手を教えているトレーナーに教わったり、筋トレ指導など受けられる時代です。なので、どんどん小中学生はいろんなところに行き、いろんな身体づくり方法や技術を学ぶべきと思います。

KoKoRo チアリーディングは、具体的にどんなことを学生に対して行っているんですか?

武田 チアリーディングはトレーナーをしています。体のメンテナンスが中心ですね。高校生の部活に入っています。テーピング方法の指導とか身体のケアの方法、怪我の予防もやっています。頻度としては2週間に1回ですが、大会前後は多めに関わっています。

KoKoRo すごいな・・・・。本当にプロのスポーツインストラクターが、学校の部活にまで関わっている実例なんですね。

 

 

 

時間の使い方

KoKoRo こんなに毎日忙しいのに、今年の4月から大学院に進学されると聞いています。勉強は、どのように普段されているのでしょうか?

武田 朝1時間と昼30分、夜1時間と分けて勉強しています。1日4時間とかは集中が続かないので分けているんです。

KoKoRo 僕もどちらかと言うとそっちのタイプですね。気がそれちゃうし。いつ頃から学会発表などを行うようになったのですか?

武田 転職して最初はリハビリ室を作るのに一生懸命で、勉強は本当に時間が取れませんでした。少しずつ時間が取れるようになってきて、3年前くらいから学会発表など始めて来ました。臨床と論文とトレーナーの活動が重なった時は、これは体が持たないと思って、一旦やめようと思いましたかなり仕事を削りましたね。白紙にしたんです。それから自分の力量に応じた仕事量にしようって思ったんです。

KoKoRo なかなか勇気のある決断はできません!素晴らしいですよね。「やめる」「削る」「なくす」などは、普通みんな嫌います。武田さんは最初からリハビリの上司もいないし相談できる人も少なかったのに、「やめる」と言う選択肢を持っていたのは強いです。

武田 そうですね。無理をしすぎてしまうことが良い結果に繋がらないと思っていましたし、結果的に今は一度白紙に戻したことで自分の力量に応じた範囲で、本業も部外活動もできていると思っています。

 

 

これからのキャリアアップについて

武田さんのこれからについて

KoKoRo これからどんな新しい活動をしたいと考えていますか?これからのキャリアアップは?

 

 

武田 「医療人としてどう歩んで行くか」を真剣に考えたい。

・「予防的」な指導やリハビリ(ここでは「現場」という)

・アカデミックな研究

・今実際に治療をしている臨床

 

これらは三位一体と思っています。現場を学んでそれを強みにしていきたい。

KoKoRo 僕が感じたのは武田さんは「医学的リハビリテーション」だけでなく、4つのリハビリテーションをしっかりと進めようとされている。すなわち「医学的リハ」「職業リハ」「教育的リハ」「社会リハの4つ。予防的な地域貢献をしつつPTという職業を広めて行く活動、学生や職場の後輩指導・自分の研究開発などの教育、そして社会にいかに還元するかを常に模索している。「トレーナーもやって臨床もやって研究をして行く。「4つのリハビリテーション」を進められる人はそうはいない。

武田 意識はしていませんが、結果としてそうかもしれませんね。ただどれも僕にとっては優越つけ難い大事なものです。

KoKoRo 素晴らしい!例えば学会を例にとってみると、僕は変革が必要な筆頭だと思っています。それは時代も世代も変わりつつある中で、教育的現場である学会が大きな変化があまり見られない。発表者のための発表者が満足する学会になってしまっていると考えています。今でもまだ威圧的・高圧的な揚げ足をとるような質問が飛び交う。そうなると、若い子たちは発表したいとか、そういった学習意欲が削がれ、結果として学会そのものに所属しなくなる。それについてはどう思いますか?

 

 

学会などアカデミックな活動に対しての考え

武田 色々な考えがありますよね。おっしゃる通り、発表者に重点が置かれた学会は多く、有名な先生が大ナタを振るうこともあります。しかし全ての学会がそうではなく、少しずつ変化をしている学会も出てきました。例えば、PT学会も若手のためのブースがあって、そこで少し肩の力を抜いた議論ができるようになってきています。

KoKoRo 確かに。僕も色々な学会を企画する側の方々とお話しをすると、新しいことにチャレンジされている方々にもお会いします。だから今は変革期かもしれない。でもそのスピードと、若者たちの学会離れのスピードとどっちが早いかということかもしれません。早く手を打たないと、学会という1つの職能組織が崩壊するかもしれない。

武田 確かに。

KoKoRo 以前とある学会の決算報告会で質問したことがあるんです。「その毎年同額でスライドしている多額の内部留保を、学会ではいつ使う予定ですか?」と。だって入会金と年会費からおおよそ毎年の収益は見えてくる。そして毎年出ていく出費もある程度わかる。でも必要以上に留保しすぎている。それは何にために毎年多額な金額を溜め込んでいるんですか?と。だってもっと応用的というか有効な運用ができると思うんです。それは誰が考えるんでしょうか?

武田 難しい問題ですね。どうしても例年通りの運用になるんではないでしょうか。

KoKoRo それでしたら、入会金を減額するとか、新しい講師を外注でバンバン呼ぶとか、地域貢献活動などに運用するとか、もっと門戸を広げるべきというのが僕の意見なんです。

武田 なるほど。

KoKoRo もちろん、そんな発言するから嫌われるんですけどね(苦笑)発展的なお金の運用を、本当に望んでいます。

 

 

リハビリ職のスキルアップについて

KoKoRo リハビリ職のスキルアップについて、どのようなお考えがありますか?

武田 以前は後輩に自分と同じようにポジティブに、積極的に違うジャンルにもチャレンジして言ったほうが良いと言っていました。最近は働き方改革の影響もあり、あまり言わないんです。それぞれのモチベーションに合わせて、やりたい人は応援するしチャンスも与える。個別性を持って指導しているんです。

KoKoRo 機会平等を大事にする。同感です。僕も機会は同じにしたいと思います。あとは選ぶのは自己責任です、と。「平等」という言葉は「機会平等」であり「結果平等」でなはい。「学会発表して良いよ、交通費出すから」と言っても「いや僕は・・」と後ろ向きで、後になって「あの人だけ学会発表にたくさん行ってズルい」とか言われても、それは流石にダメでしょう。「教える」という「機会平等」に対して「結果がどうなるか」は個人に委ねられる部分も大きいのです。教育については課題も多いですね。今は人財育成について真剣に考える時期です。

武田 そうですね。

 

 

学生指導や新入職員指導について心がけていることは?

武田 先ほども話した通り、小さなクリニックですから後輩指導でも小回りがきく、意思疎通がしやすいんです。個性を潰さない指導を心がけています。その人のスタイルにこちらの知識・技術を入れてあげる。でも3回くらい同じことを言ってもダメなら、「ダメだって」としっかりと注意する。2回くらいはフォローするようにしています。

KoKoRo 優しいですね。厳しく指導したくなりますから、3回って意外に我慢できない人も多いと思いますよ。限界値を知ることも大事ですね。それを知らないと自分のキャパシティを使いきれない。でもそれを感じてもらうためには、パワハラにならないような配慮も必要。

武田 そうですね。期待とともに適当量の仕事を与えて、それを指導に生かす。実際にやらせて見て体験させて気づかせる。

KoKoRo 山本五十六さんですね。

「やってみせ、言って聞かせてて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」

武田 まさに。リハビリ職には「負け」は今の所ないんです。「勝つ」か「やらないか」の2択しかない。国家資格があるんだから少なくとも今は「負け」はない。チャレンジする他ないと思います。やったもん勝ちなんだから、特に若い子達にはどんどんチャレンジしてもらいたいです。

武田さんの魅力の根底は?

KoKoRo すごい魅力的な武田さん。今の病院以外の活動についても、たくさんの方々に共感を得られているのはなぜだと思いますか?

武田 共感は得ているかは分からないですが、自分は「わがまま」なんだとシンプルに思っています。PTもチアリーディングも社会貢献に対する精神が強いと思っているので、自分のポジティブなイベントに共感してくれている人が多いのかもしれません、本当に周りに感謝しているんです。

KoKoRo 今は楽しいですか。またそれはなぜですか?

武田 楽しいと言うか、やり甲斐はやっぱりあります。充実しているんでしょう。簡単に楽しいとは思わない

KoKoRo そこが、かっこいいなと。楽しいという定義は非常に難しい。楽しいことは自分のことですから、それが他者のために貢献できているかは別問題。

武田 そうですね

KoKoRo でも自分の時間をかなり使っている。寝ていますか?

武田 6時間は寝ていますよ。意識的に6時間としている。それより短いのは自分の限界だと思っています。以前は週3日は2〜3時まで頑張って、また週末充電しての生活だったんです。それをやりすぎると悪夢を見るようになった(笑)

KoKoRo 悪夢、みますよ、僕もほぼ毎日(苦笑)

 

 

自分の5年後・10年後は?

武田 そうですね。まずは今の環境を振り返ると、妻に感謝したいです。今は結婚もして妻にとても支えてもらっています。今の自分の活動は本業以外に多方面に渡ってやれているのも、妻のおかげだと思っています。

KoKoRo 素晴らしい!奥様あっての今の自分ということですね。

武田 はい、感謝してもし切れないくらいです。

KoKoRo そんな素晴らしい奥様と未来を形作っていくにあたって、どうお考えでしょうか?

武田 5年後はそうですね、35歳までが勝負だと思っています。現場と臨床と研究を極めていきたい。自分が納得する医療人となりたい。3年くらい前にそう思ったんです。

KoKoRo なるほど。

武田 臨床ばかりやっていても意味がない。予防も大事。1on1で対応はできない。研究によって多くの人を支え流という選択肢も持ちたい。

 

 

昔を振り返って、1年目の自分に言ってあげたいことは?

武田 すごい大変だから大きな病院に就職したほうが良いよ(笑)。

KoKoRo (笑)

武田 今ここにいるのはだと思っています。同じことは二度とないと思う。だから一生懸命に頑張りなさいって。

KoKoRo それだけ努力をして来たということ。努力が見えちゃいました。今日は魅力的なお話をたくさんありがとうございました。

武田 こちらこそ、貴重な経験をありがとうございました。

 

 

 

編集後記

非常にストイックでありながら、ビジョンが明確な武田氏。

その類稀なる意志の強さは、周りの多くの人を魅了する。

一人職場でリハビリ部を立ち上げたり、研究と臨床を同時に進めたり、地域の子供達のトレーナーで活躍したりと、3足の草鞋を履くのは想像以上に大変だ。

しかし、その壁に真っ向から向かっていく姿は本当に清々しく、人柄から滲み出ている。

その中でも奥様への感謝は、本当に「心からの声」だと感じた。

 

 

 

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