今日は、第5回のインタビューでお話を頂いた河重氏のご紹介です。
小宅(こやけ)さんは、とっても若々しいまだ20代前半のPTの先生です。
これまでのインタビューのリンクはこちらから!
さて、小宅さんの普段の生活を伺っていきましょう!!
KoKoRo 今日は、仕事上がりのところ、すいません。よろしくお願いします!
小宅 お願いします!
経歴を教えてください
なぜ、PTになったのか?
KoKoRo 小宅さんはまだPT2年目の若いセラピストの先生です。非常に「はつらつ」と元気が良いですね〜。
小宅 ありがとうございます!
KoKoRo 小宅さんって「こやけ」さんって読むんですね。色々な呼び方が有りそうなんでちょっと迷いました。
小宅 よく言われますね。「こたく」とか「おやけ」とか。
KoKoRo 僕も最初は「こたか」かと思いました。日本語って難しいですね(笑)
小宅 そうですね(笑)
KoKoRo 小宅(こやけ)さんは、数年前までは学生さんでしたが、そもそもPTになったきっかけは、なんだったんですか?
小宅 うちのおじいさんが以前COPDだったんです。その時に訪問リハとしてPTさんが来ていたんです。そこでPTっていう職業を知りました。
KoKoRo なるほど、それは一番身近に感じることができるね。
小宅 それと、もう一人の母方のおじいさんもいて、そのおじいさんはある時に骨折で寝たきりになってしまったんです。それまで元気だったんですが、一気に「車椅子」→「胃ろう増設」→「リハ終了」(病院が変わったから)になってしまったんです。
KoKoRo 一回の怪我やちょっとした入院で、ガクンとADLが落ちてしまうことってどうしても有りますね。それは、ご家族にあったということで、とっても大変だったと思います。
小宅 その2つのことがきっかけで、リハビリの重要性を知ったんです。
KoKoRo そうですか、高校生くらいの時だったんですか?
小宅 はい、私は小さい頃から保育士さんになりたいと思っていました。高校も「保育科」のある専門の高校でした。だから本当にPTと保育士でどちらになるかを悩みました。
KoKoRo 小さい頃から保育士を目指していて、高校まで保育士の専門の学校に行ったところ、ご家庭で色々なエピソードがあったんですもんね。でもPTと悩むというのは、相当先ほどのおじいさんのエピソードなどが影響したんですね。
小宅 保育士を目指していたのもあったので、小児のリハビリを目指そうと思ったんです。
KoKoRo PTに繋がる事も色々とあると思うんですが、実際はどんな点が共通点だと感じますか?
小宅 実はまだ今の職場では小児のリハビリに携わっていないんです。障害者の施設なんですが、入所と外来でリハビリできます。小学生くらいまでを対象とした障害児のリハビリは、そこは外来だけなんです。私は入職当初は外来担当ではなく、成人の障害者を対象とする入所担当になりました。
KoKoRo 恥ずかしい話、僕があまり障害系のリハビリの実態や仕組みを知らないので、ぜひ後で詳しく教えてもらいたいです。まずは時系列に戻りますね。高校では保育士を目指していて、それからPTを目指す事になるのだけれども、そもそもその専門の高校は保育士さんに「ならない」人ってどのくらいいるんですか?
小宅 その学校は40名定員で60名いました。私立だったんで。保育士にならないのは同級生で2〜3割ほど。
KoKoRo 結構いるんですね。保育士の資格ってどうやって取るんですか?
小宅 高校卒業後に短大か大学に進学して取得か、専門学校っていう選択肢も有ります。あとユーキャンの通信教育で取得も可能です。大学・専門学校ではカリキュラムを経て卒業すると資格がもらえますが、ユーキャンだとまた試験を受けないとなりませんね。
KoKoRo そうなんですか。今、特に保育士さんの給与や処遇の問題が日本全国で騒がれていますが、実際にはどう感じますか?
小宅 実習に行って実際に保育士さんの働きを見させて頂きました。そこでは、当たり前のように仕事が時間内では終わらず、持ち帰りの仕事もたくさんあるように感じました。誕生日カードを作ったり、本当に大変だと感じました。
KoKoRo そうですか。僕も子供が3人とも保育園でしたが、保育士さんたちの働きは素晴らしく、そして本当に大変だと感じました。うちの長女は保育士さんになりたいって今でも言っていますよ。そのくらい子供にとっては影響力も大きい大事な仕事だと思います。
小宅 保育士はやはり大変な仕事ですね。私は保育士になるためにピアノを小学校からやっていました。
KoKoRo やはり女性が多いんでしょうか?
小宅 女性ばっかりですね。男性保育士は少ないですが、今の職場の障害者施設の3〜4割は若い男性の保育士さんもいます。施設の特徴によって多く配置されているところもあると思います。
KoKoRo 高校で保育科に行って、途中でPTになろうと考えが変わったわけですが、ご両親はどんな反応でしたか?
小宅 私がもし将来どうしても保育士になりたくなったらユーキャンでも取得ができるからそれでも良いと考えました。でもPTは学校に行ってそこで国試を受けて取得しないとならない。だからまずはPTになるって両親に話しました。両親も了解で、特に反対もなく応援してくれました。
KoKoRo 素晴らしいですね。自分のやりたいことと、色々な戦略をもとに人生設計をしている。若いのに本当に考えがしっかりとしていると感じます。うちの子供達に会わせたいくらいです(笑)
小宅 ありがとうございます!
就職活動は?
小宅 高校卒業してからPTの専門学校へ入りました。
KoKoRo OT・STって選択肢はなかったですか?
小宅 正直、その頃はOT・STの存在そのものを知らず、PTをスムーズに選択しました。後で知りましたね、リハビリの中でも、そういう職種があるということを。
KoKoRo 確かに違いって高校生とかには非常に分かりにくいし、僕もよく分からなかったですよ。専門学校を卒業して、2年前かな?その頃の就職活動はどんな風にされていましたか?
小宅 小児をやりたかったので、まずはその目的が達成できることを第一に考えました。でも国試に自信もなかったので、就職活動も病院見学も遅くなってしまいました。自己採点して3月から就活したんです。3月で求人が出ていて、家からある程度近くて、小児ができるところ、それが私の就活の時の前提条件でした。
KoKoRo なかなか凄いですね!その条件に合致するところが見つかって良かったです。僕も以前の医療法人で一時期採用担当をしていましたが、最近の20代の若い方達は、結構自己採点してから就活する流れが有りますね。なんででしょうか?
小宅 もし万が一国試で落ちてしまったら、せっかく内定もらっても迷惑をかけてしまうかなと。
KoKoRo そこが企業側と学生側のギャップかもしれませんね。少なくても企業側は国試で万が一に落ちてしまっても「しょうがないね、国試浪人する間、うちでバイトでもする?」くらいに考えているとこも有りますし、ギリギリに就活される方が結構困ったりしますね。企業としては早く内定を決めたいという心理が働きますから。
小宅 そうなんですね。
KoKoRo 全ての病院がそういう考えでないですが、専門学校の先生が「あなたは自己採点してから就活して」みたいに煽っていないかと、ちょっと心配になります。そのくらい最近は非常にそういう就職活動の流れが増えてきました。
就活でのこだわり
小宅 そうですね、3月に求人は意外と有りました。距離は近いと言っても片道1時間くらいです。
KoKoRo 意外と遠いですね。毎日帰りに眠くなりませんか?
小宅 はい、だから車の中にはチョコとか、お菓子とか沢山積んでいます!(笑)
KoKoRo 女子だね〜(笑)。僕も片道1時間くらいで通っていた時期がありましたが、途中のコンビニでいつも休憩していましたよ。本当に眠たくなります。小児のリハビリは先ほど「まだやっていない」とありましたがそれは予定外でしたか?
小宅 はい、就職活動で「小児のリハビリもできる」と聞いていましたが、実際は、最初の配属が成人の障害者リハ担当でした。なので小児はやってきていません。
KoKoRo それは上司に相談したら異動もできたんじゃない?
小宅 そうかもしれません。でもその法人は結構大きな法人で、他にも回復期とか色々と持っていました。だからもし異動しても、その後に回復期に行ったり、小児のリハビリに専念して従事できないんじゃないかと不安になったりもしたんです。それで今年度いっぱいで「小児」を中心とする施設へ転職することにしたんです。
KoKoRo そうなんですね。でも一度上司に相談したら、想いを尊重してもらいって環境が変わったかもしれない。
小宅 10月くらいに転職について一度話しました。その時は同じように「異動もできたのに」と言われました。でも色々な要因もあって、やはりそこからは離れることにしたんです。
KoKoRo そうですか、転職って1つの要因だけで決まることはないだろうから、将来の展望とか、自分のキャリアの仕方とか、色々と考えるよね。
小宅 はい。「やりたい」と「できる」は違うと思うんです。だから「できる」ようになるために、違う施設に転職したいと考えたんです。今度はもっと今の住まいから離れるので、人生初の一人暮らしになるんです!
KoKoRo それはまた大変だね!小宅さん、すごく芯が強くて自分の考えをしっかり持っていて素晴らしいなあ。
次の就職先は?
転職先の様子
KoKoRo 次の就職先はどんな感じなんでしょうか?
小宅 そこは放課後等デイサービスです。
KoKoRo そもそも障害児へのリハビリってどういう形があるのかな?
簡単に言うと
・発達支援センター(小学校上がるまで)でPT・OT・STの先生のいずれかがいます。
・放課後等デイサービス(小学校1年から高校3年まで)、そこにもPT・OT・STのいずれかがいますね。
KoKoRo いきなり転職するのも大変だと思いますが、実際に転職するための準備はどのように行ってきましたか?
小宅 今の職場が小児リハビリができないので、専門学校の先生の紹介もあって新しい職場にボランティアに行っていたんです。月に2回くらいのペースで行っていました。だから転職活動もスムーズで「もし良かったらウチに来てみる?」と誘って頂いたのもありました。だから転職のハードルはものすごく低かったんです。
KoKoRo それは良い流れだと思います、確かに。
小宅 あと、次の職場の忘年会とかお食事会、勉強会にも積極的に行っていました。だからもうほとんどの方々と知り合いなんです。
KoKoRo それは秀逸だね!ちょっと企業側としてもインターンシップじゃないけども、そう言うボランティア研修みたいな仕組みで、中途の方に興味を持ってもらうと言う戦略はありかもしれませんね。ちょっとメモっておきます!いやあ、勉強になります!!
学生と今ではどんなところが違うと感じますか?
小宅 学生の頃に習った評価が何も通用しないです(泣)。患者さんとの意思疎通の課題もあったり、本当に慣れるまで大変でした。学校ではFIM・BIで習っていたので、それが通用しなくて困りましたね。あと臓器の位置も違いすぎて困ったんです。
KoKoRo そうなんですね。確かに学校教育は成人を中心に展開されますから、小児や障害者へのリハビリなどの教育は少ないかもしれませんね。
小宅 STやOTはまだあると思いますが、PTって本当に少ないと感じます。
KoKoRo じゃあ、入職後に先輩について教えてもらう感じでしたか?
小宅 はい、入職後に評価スケールから1対1で細かく教えてもらいました。教育は本当に手厚く行って頂いたと思っています。症例検討は月に1回やっていましたし、他職種に聞きたい時は普段から相談もできました。
KoKoRo 後輩はいますか?
小宅 OTが入って来たんですが、10月くらいでやめちゃったんです。だから今の職場は私が2年目で一番下っ端なんです。先輩しかいないので教えてもらう環境としては助かっています。
学生の頃に「これをしておけば良かったな」と思う事は?
小宅 もうちょっと解剖運動生理学をしっかりとやっておけば良かったですね。それに学生の頃の方が先生に聞きやすかったし、学費に含まれるし(笑い)。今ではお金を払って勉強会に行かないとならない。それは勿体無いと思う。一番は、学校の先生に気を使わなくて良いことですね、話しやすいから、今の学生さんたちには、学生でいる間にたくさん質問した方が良いよって言いたいですね。
大好きな「トリックアートでの一コマ」
臨床に出てからの普段の勉強はどのように?
KoKoRo 確かに学生の特権って計り知れないですよ。でも小宅さんは今はボランティアしたり、普段の臨床頑張ったり、本当に毎日忙しいですね?特にやりたい小児について普段触れられないので、その複雑な想いの中、普段の勉強はどのようにされていますか?
小宅 成人、特に高齢の障害者へのリハビリがこれまで多かったです。でも、私が「やりたい」小児のリハビリも、高齢の方々のリハビリから学ぶことも多くあるだろうと思っていました。だから普段のリハビリを通じて勉強を深めたり、改めて小児向けのセミナーに参加したり、自分で本を購入して勉強して来ました。
KoKoRo 凄いですね。モチベーションの維持が非常に難しかったと思いますが、それもしっかりとコントロールされ前向きに努力されている。本当に2年目ですか?(笑)
小宅 はい!(笑)
自分の性格や趣味などは?
KoKoRo そんなに明るい小宅さん。休みの日はどんな時間の使い方ですか?
小宅 そうですね、平日が仕事で土日休みでした。勉強会は月に1回は行っていますかね
KoKoRo 趣味はありますか?
小宅 スポーツジムに通ったりもしました。水泳を3歳の頃から、バスケを中学校の頃からやっていたので運動は好きですね。
KoKoRo あとは買い物に出かけたり、友達と出かけたりと言う感じでしょうか?
小宅 はい、あと私はライブが大好きで、好きなアーティストが何名かいるんです。そういうのもすごく楽しいんです!
KoKoRo 良いですね!僕は趣味があんまりないから、そういった夢中になるものがあるって言うのは本当に素晴らしいと思います。兄弟や家族とも仲が良さそうですね。
小宅 仲良いですよ。弟が今は大学3年生。関東で一人暮らししていますが、たまに遊びに行ったりもします。家族も仲良しなんで、今度箱根旅行に行くんです!
KoKoRo 良いですね。家族が仲良しというのは本当に素晴らしい事だと思います。
自分の5年後・10年後はどうなっているか?
これからの仕事上の夢は?
小宅 正直、管理職に興味はないですね。まだ2年目なんで今をしっかりと勉強して力を付けていきたいです。
KoKoRo それは確かに大事。でもいつかはそういう役職に起用されるかもしれない。先輩になれば、そういうことに抜擢されることもあるし。それにリハビリ職の給与とか処遇って厳しいから、特に一人暮らしとかしていると辛くなるかもしれないよね。そういった時に管理職って、今の医療業界での給与体系では唯一給与を底上げできるシステムだから、頭の片隅にあっても良いかもしれない。
小宅 そうですね。5年後の先の未来は正直まだ分からないので、今を頑張ります!そして結婚しても仕事はやりたいと考えています。
リハビリ以外の夢は?
小宅 保育士はいつか資格取得したいですね。そしてPTと保育士のダブルライセンスを目指します。
KoKoRo もともと好きな領域だからまた改めて勉強するのも苦痛じゃないかもしれない。でもなかなか忙しくなるけど、特に転職したら大変だよね?
小宅 実は次の職場は勤務が午後からなんです。だから午前中フリーで副業できるんです。
KoKoRo へ〜、すごいね!
小宅 そこがバイト先を斡旋もしてくれるんです。だからPTとして有料老人ホームとか特養などの成人向けのリハビリに副業として3箇所、週1回づつ行くことも決まっているんです。
KoKoRo それは非常に面白いね!今の時代にかなっているし、多様なキャリア構築もできる。僕も行きたいな(笑)
小宅 来てください!(笑)
最後に
KoKoRo 非常に前向きで元気で明るい。言うことないくらいエネルギッシュな小宅さん。最後にこのブログを読んでくれる特に若いセラピストに向けて一言ください!
小宅 よし、みんな今を頑張ろう!(笑)
KoKoRo 単純明快!でも一番小宅さんらしい。今日はありがとうございました!
小宅 こちらこそ、貴重な体験ありがとうございました!!
編集後記
2年目のセラピストの先生へのインタビューは今回が初めてだった。
しかし彼女は素晴らしい戦略とともに、人生設計をしていた。
それは「使えるサービス、資源、ネットワーク」そういったものをうまく活用して、自分のキャリアに生かすと言うことだ。
秀逸だったのは転職活動のやり方と、その後の働き方だ。
一施設で10年も過ごすようなセラピストではなく、多様な働き方で自分のキャリアに付加価値をつけている。
そういった働き方がこれからは増えて行くだろう。
彼女は「結婚しても働きたい」と言う。
それが当たり前の社会であり、それを支える福利厚生が企業側、行政に求められる。
女性活躍社会、まさに彼女もその先頭を走っていってくれるのだろう。