先日(2月9日)、名古屋某所にて行われた
「リハビリテーション✖️まち作り実践報告会 〜まちづくりの始め方を学ぼう〜」 by 一般社団法人 守破離
に参加してきました。
セミナー前の様子



会場に入ると、まずは物々しい機器がズラリと並んでいる。
これは、本当に素人のレベルでない。
そうなんです。
これらを準備されているのは、廣瀬哲司さんという作業療法士の方ですが、普段は介護施設の施設長をされているんです。
またそんな中、個人事業として写真家(アーティスト)としても活躍されているプロなんです。
Macbook pro が凄い!!最新のProがそこにはあったのです(欲しい・・・泣)
羨ましい・・・。

さて、時間になりました。
第1部 杉浦氏のまちづくり


「地域づくりは、人を作り社会を作ること」
まずは杉浦氏はこう切り出されました。
活動としてセミパブリックが大事。
色々な場面に出て行って、「理学療法士だから予防をする」という考え方ではなく、
「予防がしたいから国家資格としての理学療法士を活用する」
のが大事と説いています。
自分の届けたいメッセージをすでに送っている人の信頼を借りる
「キングコング 西野さん」
「注文を間違える料理店」 などを参考にされていて、
障害や認知症がある人がその行為を行うことが素晴らしいのではなく、一生懸命行っていることが素晴らしいのだ。
これは、その人に対する尊敬することの基本ではないだろうか?
社会作りをする上でどう行動に移すか?
主体的に動ける人を作る。
自分らしく幸せに生きられる社会を作る。
色々と活動した結果、周りから認めてもらい、周りに仲間が増えて生き、そして新しい活動がまた起きてくる。
その流れの中で新しい自分を作っていく。それが杉浦氏の主張であった。
まずはやってみる!
第1部 終了 質問タイムで聞いてみた。
杉浦氏は
それは、通常の業務の流れの中で与えられたタスクで始めれば良い。
まずはしっかりと形作って、積み重ねていくことが大事だ。
第2部 ピンチヒッター 斎藤氏の幅広い活動報告


本イベントの責任者。本来は違う人が登壇する予定だった。
今流行りのインフルエンザを患ったとのことで、ピンチヒッターとのこと。
リハビリテーションはPT・OT・STの特権ではない!
誰でもできるし、誰もがやるべき所作。
視覚障害がある人(眼が悪い人)が「眼鏡をかけること」は「リハビリテーションである!!」
社会的リハビリテーションを重視した活動を目指す。
ポイントは「社会生活力」
社会生活力
・障害の正しい理解、自分でできることを増やす。不足するサービスの拡充
・支援の依頼、地域の人たちと良い人間関係を築く。
・充実した生活ができる。
・一般市民の理解を得る。
社会課題が解決しないわけは?
- 関心の壁
- 情報の壁
- 現場の壁
この3つの壁を超えるような働きが必要だ。
リハビリテーション✖️○○
= 可能性は無限大
どうやって始めるか?
→最初は巻き込まれて始めていく、それから仲間ができる。
自分初のプロジェクトは難しい。最初は巻き込まれろ!
第3部 包括支援センター所属 山崎氏のロジカルトーキング
まずは市役所の担当者に「地域包括ケア」について問い合わせをしたのが、地域活動のきっかけだった。
やっぱり行動力がある人は、いきなり行政とかに行っちゃうんだよね。
それって、できそうで出来ない行動の1つ。
僕も昔、福祉用具のことで市役所に問い合わせたら、非常に懇切丁寧に教えてくれた。
その時に同じことを言われた。
「KoKoRoさんみたいに、どんどん聞いてほしい。
そっちの方がこちら(行政)もお答えしやすいんです」
そう。行政って質問されるのがとっても嬉しい。
先日、保健所に行った時も同じこと言われたのだ。
さて、話は戻って、
山崎氏はそれから色々な場面に顔を出すことが増えてきて、色々な方と知りあったとのこと。
地域アセスメントの3要素
・地域特性の把握 (ヒアリング・行政資料など参照)
・地域ニーズの把握 (s-Statなど活用できる)
・社会資源の把握 (行政分析資料など参照)
大学院にも進学されている山崎氏、資料が行政を元にされていたものが多く、課題や取り組みが非常にロジカルに構成されている。
地域がまとまって団結していかないとダメだということが非常に分かりやすい内容となった。
地域アセスメントはやらなくても良いが、やった方がより正確に地域の特性が理解できる。
行政とのコミュニケーションも進む。
1つの手段として地域アセスメントは行うことをオススメする。
第4部 片桐氏 まちづくりのための地域診断
SPDCAサイクルの重要性を強調。
特にS(調査)を大事にする。
地域診断
・量的データを集めて分析する。
・質的データ(地域住民の方々などに聞き取る)
・市の特徴を調べて、それを対策として打ち出す。
(高齢化率、人口減少、交通機関の整備状況、介護サービスの数、転倒率が高いなど)
アントレプレナー(起業家)とイントレプレナー(企業内起業)
イントレプレナーに求められるもの
・所属先のビジョンを理解する。
・地域での立ち位置、役割を理解する。
・強み、活用できるリソースを見つける
・所属先へのメリット、効果を明確化する
ゴール設定から始めると、他者からの共感を得られやすい。
明確なゴールを1つ決めて、今すべきことを考える。
ビジネス的な色が強いと、行政や地域は難色を示しやすい。
ゴールへの意識を共有することが大事。
地域づくりは、一人ではできない。
多くの仲間と知恵を絞って進むことが大事!
懇親会
小児分野に向けての課題
最後に10名ほどが残って懇親会に参加。KoKoRoも参加させてもらう。
みなさん若い方々ばかり、その上に、STは僕だけだった。
地域づくりや新総合事業、そういう活動にSTはまだまだ後ろ向きなんだとつくづく思う。
もちろん小児の分野や障害・発達支援などでSTの先生が地域に出て行くことも多い。
また高齢者向けでは、嚥下機能の低下予防や誤嚥性肺炎に向けての取り組みなどは歯科医師会と連携を取っているSTも多い。
KoKoRoも市の委託事業の講演や、肺炎予防教室などに講師側として参加したことがあるが、地域の方々の興味関心は高い。
STの需要について話が盛り上がる。
そう、どこもSTが足りていない。
特に多く最近聞こえてくるのは「小児分野」だ。
少子高齢化だから高齢者向けのサービスが不足していると思いきや、STの8割ほどは医療機関で働いているので、高齢者への医療的サービスは現時点でのパイとしてはマックスレベルだろう。
問題は、小児分野だ。
脳性麻痺や発達障害、学習障害、難病に伴う嚥下・構音障害などに対してのアプローチができるSTが少なすぎる。
これはどこに行っても聞こえてくるニーズ。
僕が学生の頃、小児分野って人気があった。今でもある。
でも「働く場所が少ない」という原因が当時からあったのだ。
実は小児の分野は経営的に運営が難しい。
高齢者向けのサービスはある程度経営として成立つ仕組みができている。
しかし、障害分野や小児分野は、そう行った課題がもありなかなか雇用しにくいと聞いている。
他にも、小児の分野はトラブルになりやすいのも課題だ。
これは医師も同じで、産科婦人科などで医師不足があるのと同じだ。
ご両親の思いが強すぎて、STがその期待に答えられず、また過度なプレッシャーから精神をすり減らし、小児の分野でリハビリを継続するSTが減ってしまっているということも要因の1つであることは否めない。
制度的な問題もあるが、そこを解決する努力は必要だと思う。
他にも勉強会などの地域資源でも「小児向け」のセミナーはやはり少ない。
教育的な課題もあるのだ。
そんなKoKoRoの話を、NPO法人アルフィン理事長の山本氏に聞いていただく。
山本氏は愛知県を拠点に、多くの地域で子供の可能性を伸ばす取り組みをされている。
そこには、これからの地域作りの1つの大事なキーワードが込められている。
「子供には無限大の可能性がある」
そう。無限大なんだ。
それはしかし大人も同じ。
だからこそ、大人の無限の可能性に「ちょこっと刺激を与えて、それを賦活する」。
それって今日のようなセミナーに求められている役割なんだと思う。
講師陣はウルトラCの存在なのか?
4名の講師陣とも話すと、セミナーの時とは違って、本当に若々しいハツラツとした言葉が多く聞けた。
その中で盛り上がったテーマがこれだ
「この4名(講師たち)は、ウルトラCか否か?」
これは、最後の質疑応答で観客から出た質問だ。
という質問だった。
それは、まさに正しい疑問であり、質問者に拍手を送りたい。
講師陣の回答を掻い摘んで記載すると、この通りだ。
そう、これも正しいと感じる。
しかし1つ腑に落ちなかったので懇親会で講師陣に質問をしに行った。
KoKoRoの見解はこれだ。
「みなさん(講師)はウルトラCですよ。少なくともその自覚は必要です。
なぜなら、みなさんのレベルは、みなさんが思っている以上にアブノーマルであり、高いレベルなものなんです。
だからそれを否定しないで、ウルトラCとして僕ら一般向けに「何ができるか」をご教授してもらいたい。
みなさんが過去に先導者によって引っ張られたのならば、僕らはその先導者を探すところから始めないとならない。その段階ですでにハードルが高いと感じる人が多いはず。
だから、今日のようなセミナーを通じて、みなさんが僕らの先導者になって欲しい」
偉そうにも、そうお伝えした。
もちろん、4名の講師陣は嫌な顔せずにはっきりと
「そのつもりです^ ^」
とお答えいただいた。
だから、困ったらこの4名の方々に遠慮なく質問し、一緒になって模索していくのが正しい歩み方なんだと感じた。
最後に
課題は多いし、何が正解かなんかは分からない。
だからこそ、若いパワーは多くの共感を生み、多くを感動させ、動かす力を与えている。
それは、本当に素晴らしい活動であり、彼らのこれからの活動を、一人のファンとして追いかけていきたいと感じたのであった。
→全人的復権 (色々な意見はあるが、斎藤氏は正しいと思う)