パワフル理学療法士 組織の中にこそ「やりたい仕事につながるヒント」がある 若手セラピストインタビュー Vol.5-2

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さて第2回です。

河重先生(PT)のお話しはとっても面白いのですが、いかんせん身体にばかり目が行ってしまうのです・・・(苦笑)

 

 

KoKoRo それでは、第2回もお楽しみください。(今日はKoKoRoの話が結構多くなってしまいました・・・すいません)実は、1時間以上話していますが、まだ怖さに慣れません(笑)。ガチで震えているんです・・・。

河重 やめてくださいよ!(笑)

KoKoRo でも、体の大きさが尋常でないですから(笑)。背中!服が「はち切れそう」ですよ!

河重 そんなに鍛えていませんよ!(笑)

KoKoRo 鍛えてますやん・・・(笑)

 

 

1回目のインタビュー記事はこちらです。

合同会社KoKoRo企画

名古屋の某所にて待ち合わせをしていると、遠くから何やら強面の男性が近づいてきた。 今日は、PTの先生にインタビューをする…

 

 

他の方々のインタビューへのリンクはこちらから

インタビュー リンクまとめ

Vol.5-2 愛知県大口町在住 理学療法士
30代 男      河重 俊一郎 

管理者としての苦悩

後輩育成の考え方

KoKoRo さて、河重さんはリハビリの管理者です。32歳で14名のリハビリを統括しているリーダーですが、苦労も多いのではないでしょうか?

河重 そうですね、日々勉強です。

KoKoRo 後輩指導・育成で気を付けている点などありますか?

 

河重 理学療法界隈は多様な手技手法が溢れていて、若手からは必ず何から学べば良いかがわからないという声が聞かれます。もちろんオーソドックスなことは教えていきますが、癖がなければ正してあげることもできませんから、なんでも興味のあることを勉強してみることを勧めています。患者さんが治れば何でも良いというスタンスです。

KoKoRo なるほど。

河重 セラピストが何も勉強してこなくて、なんとなく自分に満足されるのが一番困るそれは普段の患者さんとの関係作りや仕事の回し方は経験とともに上手になっていくとは思うけれども、臨床能力が高くなったわけではないそれを勘違いされては困るとは指導しています。

 

 

多様な働き方への認識

KoKoRo 2019年4月からの「働き方改革」で有給取得の義務化などあります。その点はどうでしょう?

河重 個人の時間が増えるわけですから、そこをどう過ごすかで仕事にも差がついていくと思います。有意義な時間を過ごせるかどうか、それはセルフマネジメントです。決して遊ぶことが悪いことだとは思いませんが。

KoKoRo 副業はOKな病院ですか?

 

 

河重 はい。大々的にOKとはいきませんが、本業に支障がでなければ強く制限することもありません。

 

 

KoKoRo それは良い。

 

 

河重 ブランド力のある個人が生き残る時代、そう思っています。

 

 

KoKoRo そうですね。これから副業(複業)でスキルアップしていく時代ですね。それを会社側が規制してしまうと個人のスキルも伸びませんし、離職率も上がるかもしれません。ルールは必要ですが柔軟な会社運営が求められます。

 

 

セラピストの給与水準に対する認識について

河重 KoKoRoさんは、なぜリハビリ職の人たちが「低い給与に満足している」とお考えですか?

KoKoRo 実は、その質問はよく聞かれます。セラピストの給与は低いし、これからも伸びていかない。それは、みんな薄々と気づき始めました。先日も東京にある医療系コンサル事業を幅広く展開されている「株式会社メディヴァの大石代表」とお話してきましたが、それを不思議がっていました。

「セラピストはなぜもっと自分たちの価値をアピールしないのか?」と。

大石さんは今の厚生労働大臣やYahooの安宅さんともマッキンゼーでコンサルタントされていた非常に雲の上の存在ですが、僕のために少しだけ時間を作ってくれました。大石さんは非常に熱心に僕の話を聞いてくれましたが、やはりその疑問は聞きたかったみたいです。

株式会社メディヴァ | 医療の改革と新しい価値創造を目指す 医療コンサルティングのメディヴァ

メディヴァは、トータル・ヘルスケア・コンサルティング&オペレーション・カンパニー (Total Healthcare C…

河重 それで、KoKoRoさんの見解は?

KoKoRo 僕は、単純な意見です。色々と賛否ある意見かもしれません。学生の段階からすでに「高い給与や、高い自分ブランドを心から求めていない」という結論です。言い方が悪いですが「セラピストの給与が低いことや、国家資格や一部の専門的な手技だけで勝負することを良しとしている人が多い」ということですね。

河重 ふむふむ。

KoKoRo 例えば結婚相手をどのような視点で選ぶか?多くのセラピストは「共働き(共に常勤)を前提」に結婚します。つまり最初から自分の給与だけでは生活が厳しいと理解しているのです。セラピストの結婚相手が医療関係者のケースも多いので、配偶者の資格を生かそうとするから結果として共働きになっている、という見方もあります。しかし、一度共働きで生計を立てると「共働きでなら、なんとかやっていける。これで行こう」と思うのです。よって、男性・女性どちらか一人だけが働いて、配偶者は専業主婦(主夫)なんていう選択肢は基本的にはないでしょう。

 

河重 なるほど・・・

 

KoKoRo 僕も昔から共働きです。だから、妻が仕事の日は家事も育児もやりますし、それが当たり前です。今、妻が専業主婦になるなんて考えられません。そうすると、妻の給与を考慮に入れながら、自分の仕事のやり方や仕事量を調整するということがあります。

河重 ふむふむ

KoKoRo だって、毎月学会やらセミナーやら院内勉強会やらで、多くの週末不在になんてなれないですよ。平日夜も家事をシェアしている。家事をシェアしているセラピストの方々は多いと思います。それを最初から理解して結婚しているんです。

河重 そうかもしれませんね。

 

 

KoKoRo また、管理者に対する見方も様々です。セラピストが唯一会社内で給与を上げていく方法に「管理者になる」ということがあります。しかしそれについても、希望があまりない。今の若い世代は「24時間戦えますか?」のCMを知らないんです(笑)。それってすごい大事な事で、仕事に全てを捧げることが「幸せ」なんて考えていないんです。

河重 そうですね。それは感じます。

 

KoKoRo 僕は、今でも「24時間捧げている方が楽しい派」ですが(変態 笑)、そういう価値観は減って来ています。管理者って、意外に管理業務だけをやらせてもらえない。プレイングマネージャーなんです。病院ってひどいですから、管理者を指名しておきながら、プレイヤーとしてどんどんやらせる。リハビリ部長が1日15単位とか普通にありますもん。それなのにマネージャーの仕事もしろって言う。これは残業なしではできないでしょ?でも、若い人たちは残業してまで仕事したくないんだから、管理者になることは嫌がられてしまいます。

河重 なんだか、分かる気がします。

 

 

KoKoRo 仮に管理職になっても対して給与が上がるわけでもなく、自分の時間を潰す忙しい管理職になりたくない、ということです。それなら家族と一緒に「そこそこ」働いて、一緒にいる時間を大事にしたい。

 

河重 それは簡潔にいうと、給与が上がれば管理職への意識低下問題や、低賃金に対する見方は改善すると?

KoKoRo それはあります。しかし給与を上げるのは簡単ではありません。そもそも平均500万を下回るセラピストの給与が、今の保険制度で収益を得ている構造の中で800万にも1000万にもなるわけがないのです。どうしたって無理なんです。これは単純に計算すれば分かります。仮に管理職になっても定年前の超ベテランセラピストでマルチに活動できていればそのレベルに行くかもしれない。でもそれは極めて限られた人たちだけです。

河重 では、どうしたら低い給与に満足せず、さらに若いセラピストたちが管理職も含めてスキルアップをして行くと考えますか?

KoKoRo やはりそこで副業の効果でしょう。「複業」という方が良いかもしれませんね。色々な表現の仕方があります。本業で得た技術・知識をもっと社会に貢献できるようにする、その可能性は多いにあると思います。

河重 なるほど・・・

 

KoKoRo まとめると、医療機関という本業だけでの給与水準アップは期待できない。しかし素晴らしいものをセラピストの方々は持っている。だからこそ新しい自分にチャレンジして、総合的な収益を高めるということです。そのチャレンジが自分の価値を高め、新しい「あなた」が認められていくと言うことだと思います。

河重 なるほど、難しいですね。だからこそ病院側に副業解禁をさせたほうが良いと?

KoKoRo そうですね。近いうちにほとんどの医療機関が解禁していくでしょう。公的機関を除けば。だって、そういう多様な働き方ができる職場を選んで学生や若いセラピストは病院を探していますから、そう言った高いスキルを持った優秀なセラピストは、どんどん環境が整った理解ある医療機関に移っていくということです。

河重 それは大いにあり得ます。

 

KoKoRo セラピストの皆様は基本的に真面目な方々ばかりです。だから自分の得意なことをもっと展開できるし、それだけのネットワークも築きやすい。インストラクター、ボディメーク、サロン、セミナー講師、コンサルタント、地域作り、ボランティア、いくらでも活動の場はあるのです。

河重 自分のブランド力を本業以外にも向けるべきということですね。

KoKoRo そうです。色々な反論はあるかと思いますが、僕の見解はそうですね。自分ブランドを磨くことで結果的に相乗効果で本業にもプラスになる。それで質の高いサービスとチャレンジングな取り組みで「その人としての給与」は総合的に上がって行く可能性が高まります。

河重 なるほど・・・(なるほど、ばっかり言っていますが・・(笑))

KoKoRo すいません、先生のインタビューなのに、喋りすぎました(笑)

 

 

将来の自分

KoKoRo 自分の5年後・10年後はどうなっていると思いますか?

河重 将来はまだ何をしているか分からないですね。もともと医療業界だけでとも考えていない。魅力的なことがあれば、どんどんチャンレジしたいと思っています。

KoKoRo 具体的にはどんな新しい活動をしたいと考えていますか?

 

河重 パーソナルトレーナーとして依頼を頂くこともあります。スポーツジムでお手伝いをしていたこともある。そこではボディーメイクが中心でした。今は子供も小さいのであまり手を広げてはいませんが、そういったことも継続したいです。今の職場では、部下に恵まれているのもあって、管理業務とリハビリ業務(9〜10単位)を同時並行しています。それら管理業務ももっと勉強していきたいです。病院のHPなどにも関わらせてもらっていますし、執筆活動もしていました。

KoKoRo 素晴らしい! ITに強いセラピストは色々なところで活躍の場がありますよね!

河重 他にも、一般的に「雑務」と言われるものを率先して実施することで、本当の「やりたいに仕事」に近づくことができると思っています。

KoKoRo 素晴らしいお話ありがとうございました。もっと聞きたいところですが、お酒を飲む時間が来てしまいました(笑)。僕が喋りすぎたのもあるんですが・・・(苦笑)  また今後ともよろしくお願いします!

 

河重 ありがとうございました!美味しいお酒を飲みに行きますよ!

(ミッドランドスクエアの夜景が綺麗なフレンチに、男2人で消えて行ったのでした・・・)

 

 

編集後記

セラピストは、とっても「○○手技」「○○法」に走りやすい。

でもそれは「勉強したい」という形の現れ。だから本当に素晴らしい活動。

河重先生は「まずはなんでも良いから勉強してこい。あと足りないところは俺が教えてやる」というスタンス。これは結構できそうでできない。

セラピストの給与水準や認知度、社会問題、そういう課題に対して普段からも疑問を持ちながらも、KoKoRoの話をすごく一生懸命聞いてくれた。

もちろん価値観は多様で、全て合致なんかしない。

でも他者の意見を積極的に取り入れる、という姿勢は本当に素晴らしかったと感じた。

その後の飲み会も、医療事務さん、クリーンさん、介護士さん、看護師さん、多くのスタッフの方々への感謝の気持ちをたくさん聞かせて頂いた。多職種連携の重要性を十分に理解されているからだろう。

「管理者になりたくない」

そんな若者が多い中、32歳理学療法士、上を目指して日々体を鍛えつつ爆進している。

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